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高1で大谷翔平超え「通算本塁打47本の異常」 “花巻東の怪物”佐々木麟太郎を《3つのプロ指標》で評価してみた

posted2021/11/18 17:01

 
高1で大谷翔平超え「通算本塁打47本の異常」 “花巻東の怪物”佐々木麟太郎を《3つのプロ指標》で評価してみた<Number Web> photograph by KYODO

東北大会決勝で適時2塁打を放ち、花巻東の初優勝に貢献した1年生の佐々木麟太郎

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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KYODO

 高校1年生にして通算47本塁打。

 岩手の花巻東の1年生、佐々木麟太郎が4月から東北大会決勝の10月26日までに打った本塁打の数だ。内訳は公式戦11本、練習試合36本。高校通算本塁打数を見ると、トップの清宮幸太郎が3年間で111本、花巻東の先輩、大谷翔平が56本だったことを見ても、佐々木の数字がいかに突出しているか分かる。

 佐々木は同校の佐々木洋監督を父に持ち、物心つく前から野球を始め、中学時代は大谷翔平の父が指導する金崎リトルシニアでプレーをし、今年4月に花巻東に入学した。183cm、112キロという恵まれた体躯も豪快な打撃の源になっている。MLBで歴代1位の通算762本塁打を放ったバリー・ボンズ(188cm、109キロ)をお手本にしているというが、スイングのヘッドの速さ、フォームも超高校級だ。

高校野球の「通算47本塁打」はどれだけ凄いのか?

「本塁打47本」という数字に驚く人もいるかもしれないが、高校通算は公式戦だけではなく練習試合も含まれる。高校生の公式試合はメジャーリーグ(162試合)、プロ野球(143試合)のように規定の試合数があるわけではない。所属する県によって試合数は多少異なるが、すべての公式戦で決勝まで進んだとしても44~50試合前後。それも春と秋の予選と県大会、地区大会、夏の県大会、甲子園、明治神宮大会、春の選抜ですべて決勝に行った場合の数で、勝ち進めなかった場合は当然ながらその数は減少する。

 ただ一方で、「練習試合だから甘い球が多かったんじゃないか」「練習試合を組みやすいチームは有利だ」といった意見も目にする。確かに一理ある。

 チームのレベル、環境、資金状況などにより、練習試合の数は変わってくるし、1日にダブルヘッダー、トリプルヘッダーを組むこともあり、打席に立つ回数は自ずと増える。対戦相手によるが、後半は変則ルール(イニング開始時にノーアウト1、2塁など)を設けることもあり、ランナーを抱えてマウンドに上がった際には、バッテリーの心理、攻め方も異なってくるだろう。

 そのような事情もあって、『高校通算』という言葉には時に物言いというか、『?』がつけられることもあるが、高校生側にはまったく非はなく、本塁打の数だけで選手の力量を判断しようとする側に問題がある。

 もちろん本塁打以外でも打者の力を計る方法はいくつかある。というわけで本塁打の数だけではない、佐々木の打者としての能力を分析してみたい。

プロ野球やMLBも使う「3つの指標」を評価すると……

 メジャーリーグやプロ野球では打者を評価するためにいくつかの指標を用いている。

【次ページ】 出塁率)高い数値を叩き出す“四球の多さ”

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