大谷翔平の母校・花巻東「一つのミスも許さないでやってきた」“岩手勢38年ぶりの東北大会優勝”を決めるまで

「歴史を作るのではなく、歴史を変えろ」

　秋季東北大会前に、花巻東の佐々木洋監督がメンバーに伝えた言葉だ。

　これまでの先輩たちの足跡をなぞっていても歴史は自然と作られる。しかし、それだけでは先輩たちを超える結果を出すことはできない。新しい一歩を踏み出すために自分たちの手で歴史を変える。君たちにはそれを可能にする力がある――。そんな強いメッセージが込められていた。

花巻東高からMLBオールスター選出の快挙

　今年7月、メジャーリーグのオールスターゲームに菊池と大谷の2選手が選出。これまで多くの日本人選手が海を渡り、メジャーの世界で活躍してきたが、同一校から2選手がオールスターに選出されるのは、日本のメジャー史では初の快挙だった。

　菊池が用意した花巻東のユニフォームに、2人は「花巻から世界へ」というメッセージとともにサインをした。オールスターでは菊池は登板機会はなかったが、大谷は投打で出場したほか、レギュラーシーズンでは本塁打王を最後まで争うなど、彼らも新たな歴史を作り、メジャーリーグの歴史を変えている。　

花巻東高校出身でメジャーで活躍する大谷翔平と菊池雄星　©Getty Images

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　その偉大な先輩たちを花巻東の選手たちは誇りに感じ、追いつけるように努力をしている。「菊池、大谷を出した花巻東」という名前を背負うプレッシャーも少なからずあるだろう。だがそのプレッシャーを乗り越えて初めて、歴史は変わる。

そして「自分たちが歴史を変えるんだ」という思いを胸に臨んだ秋の大会。岩手県大会を4年ぶりに制した花巻東は、東北大会で初優勝、初の明治神宮大会への切符を勝ち取った。岩手県勢として38年ぶりの優勝。菊池や大谷はもちろん、過去の先輩が成し遂げられなかった快挙だ。

　新たな歴史のページを開いたが、それは決して楽な道のりではなかった。

4試合で62得点　今年の花巻東は「打撃のチーム」

　今年の花巻東を「打撃のチーム」と皆が口を揃える。高校通算47本の本塁打を打っている1年生の佐々木麟太郎をはじめ、好打者が揃い、秋の岩手県大会では4試合で62得点と爆発的な打撃を見せた。

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