［豪腕インタビュー］澤村拓一「弱さも失敗も全部受け入れて」

　現実から目を背けるつもりはなかった。162試合の公式戦を終え、迎えたポストシーズン。ワイルドカードゲーム、ディビジョンシリーズの開幕前、レッドソックスのベンチ入りメンバー表に、澤村拓一の名前はなかった。レギュラーシーズン55試合に登板し、終盤では主に勝ち試合の中盤以降を任されていた。それでも、メンバーから外れた。

　チームが勝ち進み、アストロズとのア・リーグチャンピオンシップ（ALCS）ではようやくメンバー登録されたが、今度は敵地での第1戦で厳しい洗礼を浴びる。

　1点ビハインドの8回から登板すると、四球、左前打、死球で無死満塁のピンチを招いて1失点。打者4人相手にアウト1つしか奪えず降板となった。

「こういうところで結果を出しに来たのに……と思いながらずっと過ごしていました」

　勝負球は速球とスプリット。豊富な球種を操るわけではない。NPB時代は、トレーニング方法を巡って、周囲と意見が食い違ったこともある。信念を曲げず、批判されたことも少なくない。自らの生き方を「めちゃくちゃ不器用」と自覚しつつも、ワールドシリーズまであと一歩に迫った1年目。帰国した澤村はゆっくりと回想するかのように語った。

「長かったし、タフな1年でした」