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最高時速は“競走馬並み”の60キロ!“ある目的”でモフモフのアルパカが爆走する癒しレースに密着《馬券ならぬ「パカ券」も買える》 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/11/12 06:00

最高時速は“競走馬並み”の60キロ!“ある目的”でモフモフのアルパカが爆走する癒しレースに密着《馬券ならぬ「パカ券」も買える》<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

八ヶ岳アルパカ牧場で開催されている「アルパカダービー」。先頭を走る4番エスペランサちゃん(メス、1歳)

――楽しい雰囲気のレースですが、アルパカたちはいたって真剣に、必死で走っているんですね。

井手さん そうです。ちなみにオスのアルパカたちがゴールまで駆け抜けると、柵から身を乗り出して、メスに対して自分をアピールしていることもあります。ただアルパカは季節に関係なく年中繁殖期のため、こちらの意図的なタイミングでない限りは同じ場所で生活はさせません。なのですぐに飼育員にリードを付けられて、結局メスには会えずじまいですね(笑)。

「パカ券」的中のコツは?

――「パカ券」購入も醍醐味のひとつですが、的中のためのコツも教えてください。牧場内には毛の長いアルパカや、刈り取られた後のアルパカもいますが、やはり毛の短いアルパカのほうが軽い分有利ですか?

井手さん 確かに、そういう風に期待をして賭けるお客さんも多いですね。ただ……先ほども言ったようにアルパカたちはレースの練習をしたことは一回もありませんので、その日のアルパカの気分次第で、速く走るか走らないかが決まります。

 レース中に道を逸れてしまうこともありますし、立ち止まってしまうこともあります。「ダービー」というと真剣勝負と思われるかもしれませんが、そんな“グダグダ感”も含めて楽しんでいただけたらと思います。

「速いアルパカをつくろう」ということにはならない

――競馬の場合は、基本的には3歳~5歳あたりの馬が中心となって活躍するイメージですが、アルパカの場合はどうなんでしょう?

井手さん 確かに、子どもより大人のアルパカのほうが体も大きく、走力自体は高いです。ただ、重要なのは能力よりもアルパカの気分ですから(笑)。幼ければ幼い赤ちゃんであるほど、「お母さんのもとに行きたい」という思いが強いので、必死な分速く走ることだってありますよ。そういう姿を見ると、本能的に走っているということがよくわかりますね。

――競馬は「ブラッドスポーツ」といわれるように、お父さんの馬やお母さんの馬、さらにそのお父さん……などと血統が重視されますが、アルパカには「速い一族」などはあるんですか?

井手さん 親の性格などは、もちろんアルパカの場合も引き継がれることがありますよ。しかしダービーが目的でアルパカを飼育しているわけではないので、速いオスと速いメスを交配しよう、ということにはならないですけどね(笑)。

【次ページ】 来場者は倍増だけど、悩みのタネは…

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