濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
元引きこもりレスラー真琴が聖地・後楽園ホールで15周年大会「ほぼ満員なのに赤字」「強豪同期にフォール負け」でも手にした“ご褒美”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/11/11 11:05
11月1日に後楽園ホールで開催された真琴15周年記念興行にて
記念興行は“女子プロ・インディー博覧会”に
企画していたカードが諸事情で実現できないということはあったが、特別な興行だからといってことさらに“豪華ゲスト”で話題性を作ろうとしないのも真琴らしかった。テーマはあくまで自分の15年。その中で関わった人たちと記念大会を迎えたかった。結果、WWEでも活躍したTAJIRIと女子プロレス屈指の個性派である松本都が3wayで対戦することにもなった。
旧姓・広田さくらはコスチュームとメイクで「旧姓・広田真琴」に。男子もいれば地方の選手、ベテランも新鋭もいるバトルロイヤル。“女子プロ・インディー博覧会”の様相だ。繰り返すが、それが真琴の15年だった。出てほしい選手が多すぎて40人を超えた。でも券売が不安だから一番後ろの席は2000円と格安に。そのため満員でも赤字確定になったが、それもまあ仕方ない。
マネジャー“松澤さん”は「ネギ100本デスマッチ」
ファンにはおなじみの真琴のマネジャー、松澤さんこと松澤弘子も試合をした。こちらは「還暦記念試合」でデスマッチのトップ選手である木高イサミと対戦。試合形式は「ネギ100本デスマッチ」である。最高にバカバカしいが、インパクトは凄まじかった。
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蛍光灯デスマッチのようにロープに括り付けられた長ネギで殴り合う“デスマッチ侍”と60歳の一般女性。松澤さんをアシストするのはセコンドのチェリー 、山下りな、帯広さやか。リング上は混沌を極め、なおかつネギの匂いが充満する。嗅覚をも刺激するデスマッチはイサミの勝利に終わったが、帰宅してからもネギの匂いが鼻の奥に居座り続けた。
自分なりの形で見せた“闘う姿勢”
メイン、真琴の15周年記念マッチは8人タッグ戦だ。真琴と組んだのは米山香織、春日萌花、朱崇花。春日とはベルトを巻き、朱崇花はSEAdLINNNGでユニットを組んでいる。
対戦したのは中島安里紗&松本浩代&中森華子&野崎渚。全員、真琴と同じ2006年デビューで、出身団体は違うものの同期にあたる。そして4人とも所属(参戦)団体のトップのベルトを獲得したことがある、現代女子プロレスを代表する選手たちだ。真琴にとっては自慢の同期。強豪が集結した同期チームに勝つことで自分の力を示したいという思いもあった。