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【RIZIN】肥満体型のインドア少年→都内有数の進学校→なぜか芸人兼格闘家に “ブラックパンサー”ベイノアは意外性の宝庫
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao / Beynoah
posted2021/11/08 17:00
RIZINデビュー戦で初のMMAとは思えないほどの適応力の高さを見せたベイノア。肉体は見事に研ぎ澄まされ、ぽっちゃり体型だった少年時代の面影はない
アメリカに行ったのは、ちょうど浪人時代の出来事だった。同じ時期に「キックのアマチュア大会に出られるよ」という声がかかったことが、のちのベイノアの方向性を決定づける。
「そのときは赤本を見ながら、練習したりする姿をブログにアップしていましたね」
その後、ベイノアは東洋大学に進学したが、やりたいことを見つけられず中退している。
なりゆき任せの人生でも、格闘技だけは「ガチ」
振り返ってみれば、ベイノアの人生の航路は自分の強い意志で決められたものではない。お笑いもそうだった。
「元々お笑いタレントになりたかったわけではないんです。容姿をいじられたり、いじられたところを逆に突っ込んだりしているうちに、次第にお笑いキャラになってきた感じ」
MMA2戦目は11月20日、沖縄アリーナで開催されるRIZIN初の沖縄大会『RIZIN.32』で組まれたロクク・ダリ(コンゴ)戦に決まった。ダリは地上で最も過激な格闘技といわれるラウェイにも挑む、日本在住のMMAファイターだ。ベイノアは「相手もストライカー(打撃系)なので、打撃の勝負になるのでは?」と予想する。
──では、グラウンドになったら?
「いまでも僕の基本は空手。前回は寝技の対処を最低限やって、あとは空手で闘うという感じでした。今回は(扇久保博正、浅倉カンナら多数のMMAファイターが所属する)パラエストラ千葉ネットワークさんにお世話になっています。寝技の練習をやりながらテクニックを教えていただいて、自分でもそのテクニックを使ったらできるようになってきている。実戦でも出せるんじゃないですかね。いまは不安より楽しみの方が大きいです」
闘いの舞台となる沖縄には、新宿高校2年のときに修学旅行で足を運んだ。
「気候も暖かければ、人の心も暖かい。プロになってからは関東圏でしか試合をしていなかったので、めっちゃ楽しみです」
意外性の宝庫は沖縄の地で、新たな意外性を示してくれるのか。ガチで打ち込む格闘技だけは、決して「なりゆき」ではない。
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