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新庄剛志は森本稀哲と稲葉篤紀いわく「気遣いの人」? 90~00年代のカリスマ監督、現代の「引く」監督像とも違う“期待感”とは

posted2021/11/03 11:03

 
新庄剛志は森本稀哲と稲葉篤紀いわく「気遣いの人」?  90~00年代のカリスマ監督、現代の「引く」監督像とも違う“期待感”とは<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本ハム時代、数々のパフォーマンスで楽しませた新庄剛志。監督としてどのようなスタンスを取るのか

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花田雪

花田雪Kiyomu Hanada

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Hideki Sugiyama

 かつて、これほどまでの「サプライズ監督人事」があっただろうか――。

 2006年限りで現役を引退、2019年に突如として「現役復帰」をぶち上げ、昨年のトライアウトに参加してから1年足らず……。10月29日、北海道日本ハムファイターズは今季限りで退任する栗山英樹監督の後任に、球団OBでもある新庄剛志氏が就任すると発表した。

新球場オープンに向けて“目玉”が必要な日本ハム

 15年間、野球界を離れていた新庄氏を監督に招聘した日本ハムの狙いは明確だ。

 2023年3月には新球場のエスコンフィールドHOKKAIDOが開場する。これは球団の枠を超え、親会社も総力を注ぎ込む一大事業だ。

 当然ながら、新球場オープンには大きな“目玉”が必要になる。

 チームには清宮幸太郎、吉田輝星ら将来的にチームの“顔”になりうるスター候補生もいるが、集客、人気、話題性を考えると「新庄剛志の監督就任」を超えるトピックはないだろう。

 現役時代、多くのパフォーマンスで観客を沸かせ、日本ハム入団時の公約通り、札幌ドームを満員にして颯爽と球界を去った新庄氏。あれから15年が経った今、球団が「第二の新庄劇場」を期待したくなるのも分かる。

 とはいえ、これほどの人気・知名度を誇る新庄氏に、これまで監督就任の噂はもちろん、待望論すらほとんどなかったのも事実である。

 なぜなら、それがあまりにも“非現実的”なことだと、多くの人が理解していたからだ。

野球界と一線を引いていた新庄がトライアウトで

 現役引退後、新庄氏は野球界とは明確に一線を引いた活動を行ってきた。

 生活拠点をインドネシアのバリ島に移し、趣味のエアブラシアートやモトクロスバイクに没頭。たまにメディアに顔を出したとしても、それはスポーツ番組ではなく“自由人・新庄剛志の今”を紹介するバラエティ番組だった。

 2009年の日本シリーズに「解説者」として出演した際には、「日本の野球はまったく見ていない」と豪語。一緒に解説を行った清原和博氏と、試合とは全く関係ないトークを展開する姿は大きな話題を呼んだ。

 新庄剛志の魅力に惹かれ、そのプレーに、そのパフォーマンスに熱狂したすべての人が、ユニフォームを脱いでからも変わらず楽しそうに生きるその姿を見て、「あぁ、新庄はもう野球界には帰ってこないんだろうな……」と気づいていたはずだ。

 しかし、2019年11月13日、風向きが変わる――。

 新庄氏は自身のインスタグラムで突如として「もう一回、プロ野球選手になろうと思います」と現役復帰を目指すことを電撃発表。そこから毎日のように、トレーニングをする姿や自身の技術解説を発信しはじめた。

【次ページ】 「プロ野球の監督像」とかけ離れた経歴とキャラ

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