その嬉し涙は、「思い出したくもない」と言うダービー（2着）を振り返っての悔し涙でもあったのではないか。ダービーを勝ったシャフリヤールに騎乗していたのは福永だった。馬は異なるが、同じ府中のゴール前で、雪辱を果たす形になった。

　皐月賞馬が3歳時に天皇賞・秋を制したのは1984年のグレード制導入以降初めてのことだ。ジャングルポケットが、3歳時にジャパンカップを制した唯一のダービー馬であるのと同様、価値のある記録と言えよう。

間違いなく、競馬史に残る一戦だった

　次走は、発表されているとおり、有馬記念になる予定。

　メンバー最速の上がり33秒0の脚を使いながら2着に終わったコントレイルの敗因は、やはり序盤の位置取りだろう。福永も矢作調教師も、理想はエフフォーリアのポジションを取ることだったと語っている。今回は残念だったが、次走に予定しているジャパンカップのほうが、スタートしてからゆっくり構えることができる。ラストランでの圧巻のパフォーマンスを期待したい。

　ゆったりした流れのなか、先行してロスのない競馬をしながらいつもの豪脚が見られなかったグランアレグリアの敗因は、やはり距離か。スプリント、マイルとの3階級制覇はならず、次走は距離を短縮すると思われる。

　同じように「三強」の1-2-3フィニッシュとなった昨年のジャパンカップも素晴らしいレースだったが、それに匹敵する、凄まじい攻防の名勝負となった。

　間違いなく、競馬史に残る一戦である。