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「競馬史に残る一戦」天皇賞・秋でエフフォーリアと横山武史が果たした“思い出したくもない”ダービーの雪辱《19年ぶり3歳V》
posted2021/11/01 11:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
やはり「三強」は3頭とも強かった。
第164回天皇賞・秋(10月31日、東京芝2000m、3歳以上GI)で、横山武史が騎乗した3番人気のエフフォーリア(牡3歳、父エピファネイア、美浦・鹿戸雄一厩舎)が3歳馬として19年ぶりに優勝。今春の皐月賞につづくGI2勝目をマークした。
2着は1番人気のコントレイル、3着は2番人気のグランアレグリアと、三強の1-2-3フィニッシュで決着した。
グランアレグリアの“奇襲”にスタンドもどよめいた
昼前から小雨が降り出し、馬場悪化が懸念されたが、天皇賞・秋の出走馬がパドックに現れるころには傘が不要なほど雨足が弱まっていた。芝コンディションは良のまま、決戦のゲートが開いた。
最内の1番枠から出た福永祐一のコントレイルはいつものように好スタートを切った。しかし、最初のコーナーの手前で4番のポタジェと5番のエフフォーリアに前に入られ、位置取りを悪くしてしまう。福永が抑えたというより、馬がいつものようには進んで行けないように見えた。
向正面に入るとカイザーミノルが単騎でハナに立ち、グランアレグリアが楽な手応えのまま2番手の外につけた。今週から観客の受け入れ数が増えており、9867人が見守るスタンドが、「奇襲」にも見えたグランアレグリアの先行策にどよめいた。
グランアレグリアの3馬身ほど後ろにエフフォーリアがつけ、さらに1馬身半ほど後ろにコントレイルがいる。
カイザーミノルがつくった流れは遅く、1000m通過は1分0秒5。そこからゴールまでの1000mが57秒4という、いわゆる「ヨーイドン」の瞬発力勝負となった。
こうなると、道中、ある程度前につけた馬のほうが有利になる。コントレイルにとっては苦しい展開だ。だからといって、早めに動いて前に行くと終いが甘くなるので、動くに動けない。
前のグランアレグリアと後ろのコントレイルの両方をマークできる6番手につけたエフフォーリアの横山は、あくまでも自然体だった。
「スタートが上手いですし、競馬でも器用なので、余計なことはせず、馬を信じて乗るだけだと思っていました。道中は理想的なポジションでした。変にインにはこだわらず、多少外を回ってもいいと思って乗りました」