競馬PRESSBACK NUMBER

「欠点は人間の言葉を喋れないことぐらいだ」デムーロと“運命の馬”ネオユニヴァースの信頼関係はこうして生まれた 

text by

並木ポラオ

並木ポラオPorao Namiki

PROFILE

photograph byフォトチェスナット

posted2021/11/06 11:03

「欠点は人間の言葉を喋れないことぐらいだ」デムーロと“運命の馬”ネオユニヴァースの信頼関係はこうして生まれた<Number Web> photograph by フォトチェスナット

前日の雨で馬場状態の悪くなった内側から抜け出す快勝劇。「外国人騎手による日本ダービー制覇」も史上初めてのことだった

 特に印象的だったのは、ネオユニヴァースの課題点、欠点を聞かれた際に「人間の言葉を喋れないことぐらいだ」と答えたシーン。この人馬は絶大なる信頼関係で結ばれていたことが分かるエピソードとして忘れられない。さらにネオユニヴァースの引退後「デムーロ騎手にとってネオユニヴァースとは?」という質問には「私の財産」という、最大級の賛辞を送っていた。

納豆をこよなく愛し、厄年すら気にする

 もともと親日家でもあったデムーロ騎手。ネオユニヴァースでの日本ダービー制覇が、日本に拠点を置いて騎手を続けていく一つの契機になったであろうことは、想像に難くない。

 今ではインタビューでも流暢に日本語を操るだけでなく、納豆をこよなく愛し、厄年すら気にするほど。一部の競馬ファンからは「本当の日本人みたいだ」とすら言われる存在になった。

 特にそれを強く印象付けたのは、ヴィクトワールピサが2011年のドバイワールドCを制した時。引き上げて来た馬上で日の丸を掲げた姿は多くの日本の競馬ファンの胸を熱くした。そのヴィクトワールピサの父は、デムーロ騎手が主戦を務めたネオユニヴァース。自身が日本ダービーを勝った馬の息子に乗って、震災で傷ついた日本を元気付けたことは、長く語り継がれる偉業といえるだろう。

【ハルウララ編】ハルウララ旋風が巻き起こった 負け続けている馬に白羽の矢…高知競馬を救ったブームの舞台裏

『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 ゼロ年代前半戦 』(星海社新書) 書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 ゼロ年代前半戦 』(星海社新書) 書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

関連記事

BACK 1 2 3
#ネオユニヴァース
#ミルコ・デムーロ

競馬の前後の記事

ページトップ