3年間、苦楽をともにしてきた黒坂監督も沖原スカウト同様に吉野へエールを送る。

「走攻守揃った選手ですので、いずれチームを代表するような、チームの顔となるような選手に育ってほしいと思っています」

　ドラフト1位指名を受けてからも、決して驕ることなく仲間たちと接し、練習に励む吉野の姿を見てきた。その言葉からは、自信を持って送り出せるという熱い思いも滲み出る。

仙台での活躍を誓った吉野創士　©Chihiro Takara

　手塩にかけて育ててくれた監督と、どんな時も見守り続けてくれたスカウトへの恩返しのためにも、「思いきりのよいプレーを東北の皆さんに見せられるよう頑張りたいです」と、ひたむきに野球に取り組んでいくことを誓う。

「小学2年生の頃にホームランが打てて、自分はこういう打撃なんだと思いました」と吉野自身が話す天賦の才能は、監督やスカウトとの幸福な関係を経て、最高の形でスターダムへの一歩を踏み出した。