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スケートアメリカ3位、世界王者ネイサン・チェンに何が起きたのか? 4ループ挑戦が意味するもの「できるのは、先に進むことだけ」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2021/10/26 11:01

スケートアメリカ3位、世界王者ネイサン・チェンに何が起きたのか? 4ループ挑戦が意味するもの「できるのは、先に進むことだけ」<Number Web> photograph by Getty Images

スケートアメリカでは総合3位に終わったネイサン・チェン。しかし王者はすでに北京五輪を見据えている

「できるのは、先に進むことだけ」

 フリーは2位、総合3位。国際大会だけでも14回も続いた連勝は止まった。優勝したのはSPからトップを保った1歳年下の後輩、ヴィンセント・ジョウ。2位には宇野昌磨。二人ともフリーでは4回転に5度挑んだ。

「連勝が止まったのは、別に大惨事ではありません。いつかは止まるものですから。ここ(メダリスト会見台上)にいる彼らのことを、誇りに思います。連勝を止めたのが、彼(ヴィンセント)だったことは、良かったです」

 チェンはフリー後の会見でそう口にして、後輩のジョーを祝福した。

 だが本当は、いつもの彼のようにフリーで鬼のように追い上げて逆転したかっただろう。近年に見ないミスをしたのはオリンピックシーズンのプレッシャーのせいなのだろうか。

「どうしてこうなったのか、その答えはきっと出ないだろうと思います」。チェンはフリー後の会見で、そう口にした。

「過去に成し遂げたことは誇りに思うけれど、今のぼくにできることは先に進むことだけです」

 そういうチェンの先にあるのは、言うまでもなく2月の北京冬季オリンピックである。

 チェンは最初の公式練習から4ループを跳んでいたので、ここのフリーで入れたのは逆転を狙っての即興ではない。今シーズン、北京オリンピックのフリーで4回転を6度やる必要に迫られた時に備えて、準備をしているのだ。

 このスケートアメリカでは万全ではなかったとはいえ、チェンはオリンピックに向けて周到に準備をしている。連戦となる来週のスケートカナダまでに、彼の精神力と体力で調整し直すことができるのかどうか、注目される。

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