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「ちょっと打ち合わせで…」240kmを走っていく男がいる トップランナーのサステナブルはここまで来ていた「飛行機に乗ることはない」
posted2021/11/06 11:01
text by
林田順子Junko Hayashida
近年、サステナブルは国や企業、個人の別なく、世界的なタスクになっている。
だがカーボンニュートラル実現のため、打ち合わせに240km走っていく男がいると言ったら信じるだろうか。
その男こそが、世界的トップトレイルランナーのグザビエ・テベナールである。究極にサステナブルなライフスタイルを実現するため、グザビエは今年、スポーツブランドOnとスポンサー契約も結んだ。
「選手にとってサポートブランドは非常に重要です。レースにおいて最も大切なのはクルーの存在でしょう。レース中、不安なく安全にトレイルを走るためには、装備品を熟知したクルーがいることが大きな自信と心強さにつながります。シューズだけでなく、寒暖差が厳しい山では防寒対策などすべてに気を配る必要があるからです」
だが、それ以上にグザビエがブランドとの関係性において重視をしたのは、自分の価値観の大きなウエイトを占めている「サスティナビリティ」を共有してくれるかどうかだった。そしてその熱望に応えたのが、Onだったというわけだ。
近年、トレイルランニング界では、グザビエに限らず、サスティナビリティを重視する動きが加速している。
例えば、サロモンは2019年、サステナブルプログラムを発表し、持続可能に向けた4つの目標を明文化。さらに同ブランドの契約アスリートで、世界的トレイルランナーのキリアン・ジョルネは、山を守るために自身の名前を冠した財団を立ち上げた。この活動にはグザビエも賛同している。
「彼はブランドに対して積極的にサスティナビリティの働きかけを行っています。僕も彼のように、多くの人に影響を与える存在になれたらと思っています。
ブランドがサスティナビリティを推し進めることは大事なことで、彼らの責任でもある。そして僕らアスリートにはブランドと手を取り合って、同じ方向に進む責任があります」
打ち合わせ…約240kmを3日間かけて走った
スイスのチューリッヒに本社があるOnと、スイス国境近くのジュラ山脈に住むグザビエ。両者が地理的に近いことも、サステナブルを大事にするグザビエにとっては重要なポイントだった。
実は彼は今、車を使わず自らの足か自転車で移動するようにしているという。
「冬は少し大変ですけどね」と控えめに笑うが、その徹底ぶりは想像を超えている。