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「クロノジェネシスと同じく…」ステラヴェローチェは“道悪専門”ではなく“馬場不問”! 73年ぶり快挙を狙う牝馬も侮れない【菊花賞】
posted2021/10/23 11:02
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
KYODO
春のクラシックで好走した実績馬か。それとも夏の上がり馬か。
クラシック三冠競走の掉尾を飾る第82回菊花賞(10月24日、阪神芝内回り3000m、3歳GI)。今年は、京都競馬場が改修工事中のため、42年ぶりに阪神競馬場で開催される。
皐月賞馬エフフォーリアは天皇賞・秋、ダービー馬シャフリヤールはジャパンカップに出走するため、ここにはいない。
主役不在の大混戦の様相を呈しているが、それでも、昔から「強い馬が勝つ」と言われている菊花賞にふさわしい好メンバーが揃った。
ステラヴェローチェは「クロノジェネシスと同じく…」
1番人気が予想されるのは、トライアルの神戸新聞杯で不良馬場をモノともせず差し切り勝ちをおさめたステラヴェローチェ(牡、父バゴ、栗東・須貝尚介厩舎)だろう。道悪でとてつもない強さを発揮しているクロノジェネシスと同じバゴ産駒だから、不良馬場が有利に働いたと見ることもできる。が、この馬は、稍重だった皐月賞でも、良馬場だったダービーでも3着と好走している。もっと遡ると、昨年の朝日杯フューチュリティステークスでは1分32秒4という速いタイムで2着になっている。クロノジェネシスと同じく馬場不問であり、道悪だから強いというわけではないのだ。
須貝厩舎で、鞍上が吉田隼人。先週の秋華賞で1番人気になりながら10着に敗れたソダシと同じコンビだ。秋華賞の借りを菊花賞で返したいという思いは強いだろう。
阪神開催はプラス
全7戦のうち4戦で上がり3ハロン最速のタイムを出しているように、イメージより切れる馬だ。本質的には2400mまでというタイプかもしれないが、今年は阪神開催であることがプラスに作用するのではないか。
例年の舞台である京都芝外回りの3000mだと、スタート直後と2周目に3コーナーの坂を上り下りしなければならないのだが、阪神芝内回り3000mの坂はゴール前だ。スタートしてほどなく勢いをつけて坂を下ると掛かりやすくなるが、阪神ではその心配はない。序盤、若干行きたがるところのあるステラヴェローチェにとっては、折り合いをつけやすい舞台と言えるだろう。