「レジェンドvs若手」が“お祭り”以上の価値を持つとき

　とてつもなく元気なベテランたち。その魅力と実力は、若手チームによってさらに光った。全員まったく臆することがなかったのだ。遠慮も忖度もない。大型の三浦は豪快なタックル、さらに京子をアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げた。関節技を得意とする進垣は神取にワキ固め。笹村は柔道技で神取を投げてW井上を驚愕させた。柔道ベースの投げと絞め・関節技といえば女子プロレス界では神取が第一人者。けれど今、それを武器に最前線で闘っているのは進垣であり笹村だ。

神取にワキ固めを繰り出した進垣　©Norihiro Hashimoto

　ディアナのタッグ王者、梅咲はドロップキックを乱打。アジャに真っ向から打ち込んだエルボーの連打もインパクトがあった。2本目、所属団体のトップである京子から3カウントを奪ったのは本人にとって「大きな収穫でした」。しかも団体10周年の記念大会だ。この“一本”が意味するものは大きい。ピンチに陥った梅咲を、チーム全員で救出した場面も印象深い。

若手チームは梅咲が井上京子から3カウントを奪った　©Norihiro Hashimoto

　はっきり言ってしまうと、ベテランやレジェンドが目立ちすぎるジャンルは決して健康的ではない。新陳代謝がうまくいっていないのだ。業界や団体を盛り上げるのはガムシャラな10代であり勢いのある20代であり、脂の乗った30代の役目。

　若い世代が中心にいるからこそ、40代や50代の「まだまだ負けてられない」という奮起が頼もしく見えるし、我々も気持ちよく感情移入できる。レジェンドvs若手の対戦は、すべてが噛み合って“お祭り”以上の価値を持つものになった。

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