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<何かが水面下で…>「全日本プロレスでいいのか」三冠王者ジェイク・リー、宮原健斗との“60分間の死闘”後に語った言葉の真意
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/10/19 17:00
V3を達成し、全日本を引っ張る覚悟を見せたジェイク・リー(右)。“主役”として君臨してきた宮原健斗はリーの煽りにどう応えるのか
「リング上で短い言葉だったが、あれがオレの本心です。何も繕っていない。
来年50周年、こんな試合が他にできるやついるか。おい諏訪魔、芦野(祥太郎)、青柳(優馬)、石川(修司)、それ以外もだよ。お前らこういうことできるか、できねえだろうな。そんなんじゃよ、いつまでたっても何も変わらねえや。だから言ってやった、突き抜けるって。お前らがもう見えないくらい」
リーは同じ全日本のリングで戦っているすべてのレスラーたちに呼びかけた。思っていた不満を直接、口にした。ずっと追いかけていた諏訪魔にでさえ、物足りなさを感じているようだ。
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「たぶんこのままいくと、オレと宮原、2人だけだ。悔しいんだったら、お前ら何のためにプロレスやっているかって。ちょっとは本心さらけ出せよ。お前らの主義主張ってなんだ。この会社、団体をどうしていきたい。考えたことあるか。考えたことあるかもしれないけれど、ビビッてるんだろう。ここまで体張れねえんだろう。
だから、オレが突き抜けてやる。来年50周年、オレが作っていく、オレが作り直していく」
「本当にこのままでいいのか」宮原にも奮起を促す
引き分けた宮原を、リーはどう感じたのだろうか。試合前と違って、60分戦ったことで宮原をある程度リスペクトしたんだなあ、と筆者は感じた。それは、宮原に問いかけるようなこの言葉に表れていた。
「宮原に一言、言っておくことがあった。お前さあ、全日本プロレスの主役でいいのか、全日本プロレスでいいのか、プロレス界って言っていなかったっけ。お前、もっと上のステージに行きたいんだろう。
だったらさ、お前のその気持ち出してやれよ。作り笑顔ってバレバレだぞ。アイツに結果残してほしいとか、そういうのじゃない。お前、本当にこのままでいいのか」
これはリーが大風呂敷を広げているだけなのだろうか。いや、敏感なプロレスファンなら気づいたかもしれない。
「いろいろなことが動き始めている」
「全日本プロレスでいいのか」
この2つの言葉が意味していることは、全日本プロレスは全日本プロレスに留まらないという意思表示だろう。日本の他団体、あるいは海外の他団体も視野に入れての発言と捉えていいだろう。
50周年に向けて、何かが水面下で進行していることは間違いない。
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