濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
タイガー・クイーンに立ち塞がった“師匠”ジャガー横田と越中詩郎のヒップアタック…佐山聡が新技考案中、次戦は彩羽匠
posted2021/10/16 11:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
デビュー2連勝でセンセーションを巻き起こしたタイガー・クイーンが、試練の3戦目を迎えた。
初代タイガーマスク・佐山聡とジャガー横田、2人のレジェンドが育て上げた“女子版タイガーマスク”。7月のデビューを前に、ジャガーが「初代タイガーのクローン」とポテンシャルを絶賛したことも話題になった。
実際、リングに上がってみると軽快なステップからサマーソルトキック、タイガー・スープレックス・ホールドと、クイーンの動きは初代タイガーを見事にコピー。初戦で山下りな、2戦目は佐藤綾子とキャリアのある実力者を下したのも衝撃的だった。
その動きは昭和からの古参プロレスファンのノスタルジーに訴え、同時に女子選手であることで圧倒的な新しさも感じさせる。もちろんレスラーとして成長過程でもあり、試合ごとに新たな面が見られるのも魅力だ。佐藤戦では重心を落とした相手を強引に投げ捨てる“ぶっこ抜き”ジャーマンを披露。スピードや空中殺法だけでなくパワーも印象付けた。
初のタッグマッチで食らった「越中のケツ」
10月10日の3戦目、その舞台は「ワールド女子プロレス・ディアナ」の後楽園ホール大会。主戦場であるストロングスタイルプロレスを飛び出し、初のアウェーだ。ディアナは師匠であるジャガーの所属団体であり、ストロングスタイルプロレスとは協力関係にある。
試合は初のタッグマッチ、しかもジャガーと初対戦かつ初の男女ミックスマッチでもあった。カードはタイガー・クイーン&西村修vsジャガー横田&越中詩郎。絵力どころか字面だけでも圧が強い。西村は1991年デビューの50歳、越中は79年デビューの63歳、そしてジャガーは77年デビューの60歳である。
大ベテラン、超ベテランに囲まれてどう闘い、何を感じるか。クイーンにとっては修行の一環という意味合いも強かった。「今のプロレス界はミックスマッチも多いですから」とジャガー。積んでおくべき経験はまだまだ多いということだ。
試合はクイーンとジャガーの先発でスタート。開始早々に得意のサマーソルトキックを決めた。ドロップキック、前回に続いてのぶっこ抜きジャーマンも。越中にはカウンターで頭部に蹴りを叩き込む。
が、やはりこの試合は本領発揮とはいかなかった。越中、ジャガー共通の得意技であるヒップアタックを食らう。飛び技の角度がズレる場面も。場外に落とされたところで越中にエプロンからのヒップアタックを直撃された。最後はコーナーからのダイビングヒップアタックで越中が西村をフォール。プロレスファン全員が愛する(と断言していい)越中の「ケツ」連発が場をさらった。