「楽天もそうですけど、大学生の外野手を1位と2位で指名した中日とか、上から4人のうち3人、左ピッチャーを指名した西武なんかが、『偏ったドラフトだ』とかいろいろ言われているらしいんです。でもドラフトって、本来そうあるべきものだと思うんですよ。チームに弱い部分、足りないものがあったら、徹底的に強くする。

　FAで一流選手持ってくるんなら、1人でも“補強”になるかもしれないけど、アマチュアから選手持ってきて、プロのチームの弱点を補おうっていうんですから、左ピッチャーなら左ピッチャーを3人、4人と獲ってこないと間に合わないでしょう。よくドラフトで、あっちもこっちも1人か2人指名して、『バランスのいいドラフトになりました……』みたいな談話がありますよね。私は、あれ、ちょっと違うと思うんです。補強じゃなくて、ただの“補充”じゃないのかなって」

　楽天1位・吉野創士は、試合の金属バットより、練習の木製バットでのバッティングのほうがいい打球を飛ばせるプロ仕様のスラッガータイプ。

　バットの芯さえ食えば、どの方向へも放り込む楽天2位・安田悠馬は、強肩で身のこなしも鮮やかな将来の本塁打王候補。

　やることなすこと、エネルギッシュでバイタリティーがあって、外向きのエネルギーの楽天3位・前田銀治は、胸のすくようなフルスイングで「3人目のギンジ」として人気者になれる資質十分。  

　この先、どんな出会いが「人」を伸ばそうとするのか。自分から伸びていこうとする意欲にかけては、これっぽっちの心配もない3人だ。楽しみな3人が、いくつもの願いと祈りを託されながら、プロに進む。＜ドラフト全体編から続く＞