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他球団スカウトが語る「なぜ楽天はドラ1~ドラ3まで野手で固めた?」「“とりあえずピッチャー”が崩れ始めた」ドラフトウラ話《楽天編》 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/10/18 17:02

他球団スカウトが語る「なぜ楽天はドラ1~ドラ3まで野手で固めた?」「“とりあえずピッチャー”が崩れ始めた」ドラフトウラ話《楽天編》<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

楽天から3位指名。野球部員に胴上げされる前田銀治(外野手・三島南高)

1位・吉野創士(外野手・昌平高・185cm78kg・右投右打)
2位・安田悠馬(捕手・愛知大・185cm105kg・右投左打)
3位・前田銀治(外野手・三島南高・182cm98kg・右投右打)

 今年の楽天ドラフトの「頭3人」はこういう顔ぶれである。スカウトの方の“他球団”分析は続く。

「普通はこの3人の上に、小園(健太、投手・市立和歌山高)とか隅田(知一郎、投手・西日本工業大)とか、ピッチャーを乗っけたくなるんですよ。そのほうが、なんか収まりがいいでしょ……頭をピッチャーにしたほうが。第一、誰からも文句言われない」

 それが、これまでの「セオリー」だったのかもしれない。

「それでもし1位・小園が獲れて、ウェーバー8番目の2巡目で吉野までは獲れたとしましょう。でも、3位に考えていた安田は、吉田正尚と杉本裕太郎の後の長距離砲が欲しいオリックスに2位か3位で獲られて、4位のつもりだった前田は、やっぱり大砲候補が欲しいカープが4位で持っていく。結局、頭の2人しか獲れない中途半端なドラフトになるんですよ」

「監督は10人が10人、即戦力ピッチャーが欲しい」

 体裁を整えることより、実を取った楽天。なかなかできることじゃないと、そのスカウトは言う。

「監督という立場だったら、10人が10人、即戦力のピッチャーが欲しいって、石井(一久)さんの談話が載ってたけど、今回の楽天ドラフトは石井さんが“GM”という立場で、5年先ないしは10年先を見通して人選したドラフトだったんでしょうね。そうでなきゃ、これだけピッチャーに逸材のいる年に頭から3人、野手並べるなんて、できない。だって4位でピッチャー獲ったとしても、トータルで44人目の選手なんですからね」

 1位から3位で指名した野手3人が大輪の華を咲かせればいいが、そうでなければ、球団内外から「暴挙」と非難されるに決まっている。

「楽天さんは石井さんがスカウトから報告を聞いて、自分で候補選手のビデオをじっくり見て決めると聞いたことがあるんですが、よほどの覚悟というか、腹をくくって臨んだドラフトだったんでしょうね。よその球団のことですけど、今年の楽天ドラフトのことは、僕もドラフトの歴史の1ページとして、覚えておこうと思うんですよ」   

中日も西武も『偏ったドラフトだ』は本当か?

 また、あるスカウトはこういう話をしてくれた。

【次ページ】 中日も西武も『偏ったドラフトだ』は本当か?

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