師匠・ジャガー横田「高い壁でいたい」

　試合後のタイガー・クイーンは無言で階下の控室エリアに。おそらく、いつものようにそのまま会場を後にしたのだろう。正体不明の覆面レスラーは、いまだ公の場で一言も発していない。ただ今回の試合が、キャリア3戦の中で最も不本意なものだったことは明らかだった。直接のものではないにしても、初の敗戦でもあった。

大ベテラン・越中のヒップアタックに苦戦を強いられた　©Norihiro Hashimoto

「クイーンがやり切った感はなかったんじゃないですか」

　そう語ったのは試合後のジャガーだ。

「シングルでやったらすぐやられそうだけど。でも黙ってやられてないのがジャガー横田なので。高い壁でいたいと思います」

　これまでの試合とは勝手が違ったはずだと、師匠は弟子の感覚を代弁した。

「初めて当たる男子レスラーは、女子とは違うパワーがあったはずです。それをどう感じたのか、次の練習で聞いてみたいですね。やった人間にしか分からない感覚というものがあるので。ただ、しっかりした技があれば男子にも通用しますから。それがあったのかどうか。

　これまでとはタイミングも違ったでしょうから、やりづらそうでしたね。こういうタイミングの選手もいるということで、勉強になったと思います。これもマイナスではないですよ」

越中にカウンターの顔面キックを決めた場面

　サイズ、スピード、パワー、それにリズム。同じ技をかけるにしてもタイミングや必要な力は相手によって変わってくる。過去2戦は現代のプロレス界の最前線で活躍する選手が相手だったが、今回は一味も二味も違うタイプ。「黙ってやられてない」というジャガーの言葉通り、あえてやりにくくしていた面もある。ましてジャガー、越中と交互に闘うわけで、その違いにも対応しなければいけない。初のタッグマッチで、西村と呼吸を合わせる必要もあった。

　もちろん「西村修とタッグを組んだ」、「ジャガー横田、越中詩郎と闘った」、すなわちレジェンドに触れたという経験はクイーンにとって大きい。誰もが得られるものではないし、この顔合わせ自体が幅広い層へのアピールになる。言ってみれば“名刺がわり”だ。

第2戦でも見せた“ぶっこ抜き”のジャーマンはこの試合でも披露　©Norihiro Hashimoto

課題は「どこを伸ばすか」、佐山は新技も考案中

　この試合がタイガー・クイーンにとっての試練だったことを説明した上で、ジャガーは弟子と闘った印象をこう言った。

「素晴らしい選手ですよ。当たってみて初めて感じるパワーがあった。あまり出会ったことがないタイプです」

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