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「クボは最も脅威を感じる1人。だがレアルでは数字を残さないと失格の烙印を…」 番記者から久保建英へ《忖度なしの期待》とは
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ハビエル・シジェス/ディアリオ・アスJavier Silles/Diario AS
photograph byGetty Images
posted2021/10/17 17:02
2019年、レアル・マドリー加入直後の久保建英。果たして「本物の銀河系の一員」となれる日が来るか
2列目のプレーエリアを自由に動き回ることが許される10番としてプレーすれば、よりゴールに直結するスペースでボールを引き出し、危険を作り出すことができるだろう。またライン間のつなぎ役として、より頻繁に攻撃に関与できる。
モドリッチのような役割を教え込むのは得策ではない
だがトップ下のポジションがないチームでは、例えば4-3-3のインサイドハーフとして、ルカ・モドリッチのような役割を一から教え込むのは得策ではない。久保にボックス・トゥ・ボックスの移動を繰り返すハードワークを強いることはできない。それは彼が攻撃面でもたらすべき価値を害する行為だからだ。
そう考えると、彼には右サイドでプレーする以外の選択肢はないように思える。久保にとっても慣れ親しんだポジションなだけに、大きな問題にはならないはずだ。サイドから中央に動きつつ、DFラインとMFラインの間のスペースに顔を出し、危険を作り出す。虚を突いてボランチの背後に現れることもできる。奇しくも中央からサイドにポジションを移すことによって、より中央で決定的なプレーができるようになるわけだ。
とはいえ、久保の成長にとってはプレーポジション以上に所属チームのフットボールが重要になってくる。久保の特徴を活かすためには、彼とよく似た感覚を持つ選手と共にプレーする必要があるからだ。
例えばサイドバックは鋭くDFラインの裏を突き、久保のマークを引き剥がせるような選手が最適だ。中盤には2列目からゴール前まで侵入できるMF、前線にはセンターバックとサイドバックの間のスペースに抜け出せるストライカーが欲しい。
これらの選手は久保のフットボールを最大限に生かし、彼の成長を促してくれるだろう。その上で彼が日本のエースとなるのか、世界中にインパクトをもたらすレベルの選手となるかは本人次第となる。
東京五輪のようなプレー環境はまずない
いずれにせよ、チーム全体が彼のために動いていた東京五輪のようなプレー環境が得られることはまずないと理解しておくべきだろう。レアル・マドリーでプレーすることになれば、言い訳をするわずかな機会も与えてはくれない。
ここで然るべき意見を述べておきたい。