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「ドラフトにかからなかったら野球を…」東芝をやめて1年勝負の26歳とヤンチャな投手の覚悟〈独立Lのドラフト候補〉
 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/10/04 17:00

「ドラフトにかからなかったら野球を…」東芝をやめて1年勝負の26歳とヤンチャな投手の覚悟〈独立Lのドラフト候補〉<Number Web> photograph by Kou Hiroo

独立リーグ香川の近藤壱来と望月涼太に朗報は届くか

 そのショックもあって、しばらく野球から離れていた。会社はやめていなかったのでサラリーマンとして生活は安定していたが、諦めきれなくなり、香川オリーブガイナーズのトライアウトを受けて入団した。後悔を残したくなかったのだ。

 入団した昨年の成績は27試合4勝4敗1S4H 73.2回、防御率3.18。先発、中継ぎ、抑えといろんな状況で投げた。

「できることは何でもしようと思って、どんな状況でも投げました。でも、全然満足できなかった。今思ったら意識が足りなかったですね。変わらんといけん、と思って背番号も変えました」

元ヤクルト近藤兼任コーチの教えで変わった意識

 今年、香川にはヤクルトスワローズから近藤一樹選手兼任コーチが入団。ややこしいことに、近藤壱来も近藤一樹ともに「こんどう・かずき」だ。おまけに監督も近藤智勝(こんどう・ともすぐ)である。近藤監督は、壱来を「いち」、一樹を「近藤コーチ」と呼んでいる。そんな中で近藤壱は、近藤コーチの影響を受けていた。

「近藤コーチは初めて会ったときに、僕の投球をほめてくれました。練習も、投球もすごかった。僕の知らない世界でやっておられた投手ですから、すごく刺激的でした」

 近藤壱来の目の色が変わったのはこのときからだった。

「近藤コーチと出会って『何のために野球に戻ってきたのか』を自分でもう一度考えてみて、プロで活躍できる選手になりたいと思った。だとすれば今、全然できてないじゃん、と痛感しました。そのときから、プロで活躍するためには何をすべきかを考えるようになった。そこでキャッチボールのやり方から変えました。走り込み、体幹トレーニング、それに外野でノックも受けたりしました」

「目標とするのは大野雄大投手」

 近藤壱来の「自己改革」は、今年前半の無双の投球につながる。

 11試合10勝0敗4完投2完封75回92奪三振、防御率1.56

「キャンプから、継続してやってきたことが徹底できて勝てたのだと思います。でも4点を取られた試合もありましたから、チームにも助けてもらいました」

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