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大谷や白鵬なみの熱量で、9月のスポーツ紙が夢中で報じた「ロン毛」小室さんと「せんべい」総裁選の過剰なディテール 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2021/10/05 06:00

大谷や白鵬なみの熱量で、9月のスポーツ紙が夢中で報じた「ロン毛」小室さんと「せんべい」総裁選の過剰なディテール<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

小室圭さんの帰国を報じた9月28日のスポーツ新聞各紙。ちょんまげ、ロン毛、ポニテと表現はさまざまだが、後ろにまとめた長髪を強調するためか、横顔の写真が多い

 週刊文春は『皇室を揺るがす青年は一体何者なのか 小室圭さん「全史」』(10月7日号)

 週刊新潮は『「ロン毛ポニーテール」が「天皇の義兄」になる衝撃 「ジゴロ」の本性 私はこう見た』(10月7日号)

 皇室というジャンルなのでおじさん達は小室さんに警戒するが、でもロン毛ポニーテールにはそこまでこだわらなくてもよいのではないか……。

 そう思っていたら一般紙では東京新聞が『小室さんの新髪形どう?』という記事を書いていた(9月30日)。

「清潔感がない」「信用できない」という声を紹介しつつ、ニューヨークではコロナ対策のロックダウンでヘアサロンに行けず、伸びた髪をそのまま後ろで一つにまとめた髪型が流行しているという解説も載せた。でも「似合っているかどうかは別問題」と手厳しい。今後おこなわれるであろう会見でも「見た目も鍵になる」と書いている。そんなに「見た目」って重要? 言及すべき? 私は今も自問自答しています。というわけで大ネタなのに細部がアツかった最初の件は「ロン毛」でした。

「せんべい」が占う総裁選の行方

 続いて細部がアツかったのは自民党の総裁選報道です。岸田文雄氏が新総裁に選ばれた。私が注目したのは「せんべい」「まんじゅう」です。

 実は2年前、元号が令和になった時にちょっとした話題があった。国会内の売店で令和の墨書を掲げる安倍首相(当時)の絵柄が入った「晋ちゃん令和せんべい」が売り出されたのだが、パッケージには安倍晋三氏のほかに菅義偉、麻生太郎、石破茂、小泉進次郎各氏が描かれていた。

 だが、

《「ポスト安倍」候補のはずの岸田政調会長の姿は見当たらず、岸田派の議員は「存在感が薄いからなのか」と落胆している。》(読売新聞2019年5月2日)。

 ちなみに、中身のせんべいは「令和おじさん」としてポスト安倍に急浮上した菅氏の絵柄が「当たり」として出てくるとあって、

《党内からは「次期総裁レースの行方を暗示しているようだ」との声も漏れている。》

 と記事は結ばれている。その1年4カ月後におこなわれた昨年の総裁選では菅氏が圧勝したことを考えると、どうでもいいがどうでもよくない記事だったのである。この手の「せんべい」とか「まんじゅう」は認知度の確認でもある。岸田氏の一般での存在感が懸念されたのである。

【次ページ】 勝利のせんべい。まんじゅうも発売

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