プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・中田翔がハマった「マスコミ球団」ならではの“沼”とは？ 清原和博も最初は「全然、気にはなりません」と語っていたが…
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/01 17:06
9月30日の中日戦の５回、遊飛に倒れた巨人・中田翔。この打席でベンチへ退いた
日本ハムのファンはある意味、選手に優しい
その背景には移籍先が巨人というマスコミ球団だったということも、少なからず影響しているようにも思える。
日本ハムのファンはある意味、選手に優しい。投手が3ボールになると自然発生的に応援の拍手が湧き上がるのも、このチームからだった。そういう温かい目がピンチの選手に注がれ、地元のメディアもそういう目で選手を報道することが多い。
もちろん巨人にも、そういう目線のファンも一杯いる。ただその一方で巨人ファンは巨人というチームに思い入れ、チームが勝つこと、優勝し日本一になることを絶対価値として応援しているファンが多いのも確かだ。
同時に巨人はメディアの目が厳しいチームであり、活躍したときには華々しくスポーツ紙の見出しになるが、その一方でチャンスで打てなかったり、ミスをすれば他チームでは経験したことのないようなバッシングを浴びる。
西武から巨人に移籍直後の清原が語ったこと
移籍の経緯もあり、それが第一に大きい。加えて巨人というチームに入ったことで、中田はこれまでに経験したことのないようなプレッシャーの中で、日々グラウンドに立っている。周囲の厳しい視線に晒されながら、結果を出さなければならないという思いが、中田のポジティブさを奪ってしまっているように見えるのである。
そんな中田に思い出すのは20年近く前のある選手の姿だった。
「僕だって高校時代から散々、マスコミに追い回されて、取材も受けて騒がれてきましたから。全然、気にはなりませんよ」
言葉の主は、西武から巨人に移籍してきた直後の清原和博さんだった。
1996年のオフのことだった。
阪神との激しい争奪戦の末に巨人入団が決まった直後、当時、所属していた報知新聞の仕事で清原さんにインタビューをする機会があった。
そこで話題となったのが、いいにつけ悪いにつけ、常にマスコミとファンの目が注がれる巨人という球団の特殊性だった。
