RIZIN榊原CEOのコメントは…？

　まして試合を終えたばかりの興奮状態では「うまくいかないところもあった」ことを「全然ダメだった」と感じてしまうだろう。RIZINは多くの人間が注目するから、選手が発する言葉も影響力が大きくなる。言葉ひとつで「あぁ、この試合はダメだったんだ」と思う観客、視聴者が出てくるかもしれない。けれど、ぱんちゃん自身にはそこまでは考えられない。自分は大きなチャンスを逃したのだと思ってしまう。

　実際にはそんなこともなかったのではないか。ガツガツとした打ち合いは迫力があったし、試合前に見せた笑顔とのギャップも印象に残る。KNOCK OUTとは違い、RIZINのキックルールは組んでからの攻撃がより制限されているのだが、ぱんちゃんは“組み”の展開なしで充分に闘うことができていた。収穫は間違いなくあったのだ。

3-0の判定勝ちも、ぱんちゃんの表情には悔しさが滲んだ　©RIZIN FF

　RIZINの榊原信行CEOも、女子キック部門の今後についてはファン次第としながら、勝者、敗者ともに及第点だったとコメントしている。

　KOはもちろん大事だ。誰が見ても分かりやすい。一般層、自分を知らない人間にアピールするなら、倒して勝つのがベスト。ただし、ベストな結果以外は失敗ということではない。今のぱんちゃんに課題があるとしたら、実力よりも感情なのかもしれない。判定3-0で百花に勝ったという事実には胸を張っていい。そこで満足できない志の高さは、次の試合で見せてくれればいい。

MMAの浜崎vs藤野は親友同士の“殴り合い”に

　この『RIZIN.30』では、もう1つの女子マッチが組まれていた。こちらはMMA。スーパーアトム級王者の浜崎朱加と藤野恵実のベテラン対決だ。プライベートでも仲がいい2人だが、試合が決まるとどちらも「やりにくさはない」と語った。　

MMAでは浜崎（右）vs藤野（左）も。実力者同士の対戦となった　©RIZIN FF

　浜崎vs藤野は再戦。前回は2012年だ。今より女子格闘技の選手層は薄かった。相手を選んではいられなかった。その感覚は、最初の対戦の後に親交を深めても変わらなかったということだろう。組まれた相手と闘って、とにかく強くなること、勝つことだけを考えて試合を重ね、そうして2人はさいたまスーパーアリーナで“再会”したのだ。

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