情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
那須川天心15歳《ボクサーの天才性》は西岡利晃と同レベルの衝撃だった… 葛西トレーナーが知る「相当な可能性」とは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYuki Suenaga
posted2021/10/01 06:01
ボクシングの世界チャンピオン4人を育てた葛西裕一氏。那須川天心の才能にも太鼓判を押す
ジムのチーフトレーナーとして充実した時間を送っていた。だが同時に、帝拳ジムに、日本ボクシング界に対して、これから先どうすれば自分が貢献できるのかを考えるようになった。ボクシングに気軽なイメージを持ってもらい、もっと世の中に広げていくことができないか。自分のジムを開きたいという思いに至り、帝拳ジムの本田明彦会長に相談すると背中を押してもらったという。
「葛西の人生なんだから、と言ってもらえました。後輩のトレーナーも育っていましたから、もうそこは何の心配もなく。4人の世界チャンピオンはみんなサウスポーなんで、右の世界チャンピオンを誕生させたかったなという心残りはあったんですけどね(笑)。帝拳ジムには言葉にはできないくらい本当にお世話になりました。今度は外にいる立場からいい選手を見つけて、プロを目指すというなら帝拳ジムに送りこみたいなって。そういう貢献ができたらいいなって思っています」
那須川天心には西岡と同じくらいの衝撃を受けた
葛西は天才キックボクサー、那須川天心の恩師としても知られる。
15歳のときに知人から指導を頼まれ、帝拳ジムでボクシングを教えていた。西岡に出会ったときと同じくらいの衝撃を受けた。
「天才だと思いましたね。サウスポーの彼は、右ジャブが凄くうまい。飲み込みが早いので、一つ伝えればすぐに吸収できる。一応理論はすべて教えたつもりです。あとは自分の感覚で崩したり、応用したりしていけばいい。相当な可能性を秘めていると思いますよ」
葛西が帝拳ジムを離れてからも、那須川がトレーニングするTEPPEN GYMに月2ペースで出向いて教えていた。「Cardio Boxing GLOVES」のオープニングセレモニーの際には那須川も駆けつけている。
今は直接指導する機会がほぼなくなったと言うが、来年からボクシング転向を決めているだけにアドバイスを求められることもあるだろう。