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大谷翔平が「イチロー以来の最多敬遠」に? 貧打エンゼルスの悲哀もホームラン王への朗報は…《3戦11四球はMLB記録》
posted2021/09/25 19:15
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
大谷翔平が歩かされまくっている。
45号本塁打を放った9月21日アストロズ戦の翌日からの3試合15打席で11四球(うち4敬遠)である。本塁打王争いに踏みとどまる大谷にとっては厄介な状況ではある。
ここ3試合の大谷翔平の打撃結果は以下の通り。
<アストロズ戦>
9月22日 四球 四球 一ゴ 敬遠 敬遠 三振
9月23日 三振 四球 四球 四球
<マリナーズ戦>
9月24日 三振 敬遠 四球 四球 敬遠
これは2016年ブライス・ハーパー(当時ナショナルズ)に並ぶMLB記録。ベーブ・ルースでも3試合10四球が最多だ。
アストロズはエンゼルスと同じア・リーグ西地区で首位を走っている。この3試合の結果は、21日アストロズ10-5エンゼルス、22日アストロズ9-5エンゼルス、23日エンゼルス3-2アストロズ、アストロズの2勝1敗だった。
アストロズはタイガースとともに5被本塁打と最も多くの本塁打を大谷に提供している。ここは勝負しない方が無難だと判断したのだ。一方マリナーズは24日、6-5でエンゼルスを下した。こちらもポストシーズン進出の可能性が残っているので大谷との勝負を避けたのだろう。
DH制のア・リーグで圧倒的に多い敬遠数
<MLB両リーグの敬遠数上位>※はアメリカン・リーグ
J.ソト(ナショナルズ)22
大谷翔平(エンゼルス)17※
F.フリーマン(ブレーブス)14
B.ハーパー(フィリーズ)13
N.クルーズ(レイズ)10※
M.オルソン(アスレチックス)10※
J.ラミレス(インディアンス)10※
本来、敬遠数はDH制がなく投手も打席に立つナショナル・リーグの方が多くなる傾向にある中で、そんな中で大谷の17敬遠はかなり多い。しかも8月5敬遠、9月は6敬遠と露骨なマークにあっている。
ちなみに今年と同じ162試合制だった2019年、ア・リーグ最多敬遠は大谷の同僚、エンゼルスのマイク・トラウトの14だった。今シーズン、大谷翔平と激しい本塁打争いをしているブルージェイズのV.ゲレーロJr.の敬遠は7、ロイヤルズのS.ペレスは4だ。
なお、日本人選手ではマリナーズ時代のイチローが2002年に27敬遠、シーズン262安打をマークした2004年も19敬遠、2009年も15敬遠でア・リーグ最多敬遠となっている。
なぜ大谷の敬遠が増えているのかについて、さらに考察を進めよう。