K-1プロデューサーは「本当に真面目」

「そもそも、負けた相手（ミルコ）に弟子入りして、海外に移住するというのが凄いですよね。なかなかできることじゃない。本当に真面目だし、強くなりたいんだと思います」

　そう語ったのは、K-1の中村拓己プロデューサーだ。一夜明け会見で「今回できなかったことを次回できるようにしたい」と言った石井は真摯な格闘家であり、金メダリストの肩書きに頼るようなところはまったくない。

　そんな石井には、K-1は控室から居心地がいい場所だったようだ。今のK-1は20歳前後の若い選手が中心。幼い頃から空手など打撃系競技を学んできた選手が多い。アマチュアから後楽園ホールでの大会Krush、そしてK-1へとつながる競技の道筋も確立している。2008年の柔道金メダリストは、さほど意識するような対象ではないのかもしれない。「いい意味で、みんなサバサバしてました」と石井。

「だからやってて気持ちよかったですね。変に大物ぶってる人もいないですし。みんな試合前だからピリピリはしてますけど、フラットな感じがしました。総合の世界だと、前にやってた競技で結果を残したからって大物ぶる人もいるので。総合2試合とかでよく大物ぶれるなっていう（笑）」

「今も金メダリストと言われますね」

　クロアチアに住み、日本以外で試合をする時の石井は、肩書きから自由でいられる。畑違いのK-1は、もしかすると石井にとって“外国”なのかもしれない。

「今も金メダリストと言われますね。もういいんじゃないかと思うんですけどね、格闘技も長くやってますし。ただ金メダルに助けられたこともありますから。そこはもう気にしてないです」

　五輪金メダル以上の結果をプロの世界で残したかと言えば、そうではない。その意味で肩書きがついて回るのも仕方ないだろう。ただ、大雑把に〈弱かった〉と断じられるようなキャリアを送っていないことは確かだ。彼の生き方は、間違いなく強い。

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