濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
デビュー2戦目タイガー・クイーンに「マスクはぎ」の洗礼…それでも令和の“虎ハンター”を攻略したパワーとオリジナリティ
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/09/15 11:01
9月5日のデビュー第2戦にて、対戦相手の佐藤綾子に初代さながらのローリングソバットを見舞うタイガー・クイーン
「クイーンが受けてくれるのならもう一回。虎ハンターになれるように。追いかけがいのある相手ですね。ディアナの他の選手も、やってみたら衝撃を受けると思います。あんな未知の選手は他にいない」(佐藤)
佐藤の言葉でまたクイーンの“幻想”が高まる。実はパワーファイターなのか。まだ見せていない技はどれくらいあるのか。これから試合を重ね、さまざまな相手と闘うことで次々と“引き出し”が開いていくのではないか。
今回もノーコメント…“謎”が魅力になっている
リングを降りたタイガー・クイーンは、バックステージから駐車場に出るとスタッフの車に乗り込み、会場を後にした。今回もノーコメント。リング上を含めまったく声を発することはなかった。
今どき珍しい“謎の覆面レスラー”ぶりがまた魅力につながる。本人の言葉で何もかも説明してもらうのではなく、我々は対戦相手の言葉からどんな強さを持っているのかイメージしていくしかない。そこが古くて新しい。タイガー・クイーンという選手をどう捉えるか。見る者の想像力に委ねられている部分が大きいのだ。
タイガー・クイーンは“語れる”存在だと言えばいいだろうか。「まだまだ、初代タイガーはあんなもんじゃなかった」であれ「あそこまでの動きを見せてくれたら大満足」であれ、多くのプロレスファン、昭和のプロレス少年がつい気になって一言いいたくなってしまう。
逆に、タイガー・クイーンから遡って初代を知ったというファンがこれから現れる可能性もある。ダイナマイト・キッドのような迫力を見せた山下りな。佐藤綾子は“虎ハンター”を志向する。次の相手が誰になるのかも気になるところ。今の女子プロレス界には、ライバル候補になりうる魅力的な選手がいくらでもいる。だから余計にタイガー・クイーンの今後が楽しみだ。
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