高校の保健体育の教員免許を持ち、英検は準2級。同じくベンチスタートが多いロニー・ロドリゲス選手とは通訳を介さず、英語でコミュニケーションをとる。「何も分からない異国に来て、野球をして。その立場を自分に置き換えると、大変だと思う。少しでも、日本にいる時間がいいものになってほしい」と寄り添う。同じ内野手でライバルでもある。そのもがき苦しんでいる助っ人は、谷内選手を「アミーゴ」と呼ぶ。スペイン語で友人という意味である。グラウンドだけではなく全方向に気を配り、目を配り、ベンチからチームを整えている。

「ザ・プロ野球選手というような選手を見ていると、うらやましいなと思ったりもします。でも、僕はそうはできない。最初から試合に出ることが、ほぼないですしね。セットアッパーとか、クローザーとかと一緒。自分の成績だけではないですから」

　勝利の方程式の必勝リレーとセットで出番が到来する。接戦勝利を守り抜く、内野の番人である。

　プロ野球界には突出した才能で一気に居場所をつかむ選手がいるが、谷内選手は対極にある。

　綻びを見せないという強烈な特長を「謙虚にやることだけ」と、丹念に伸ばし続けてきた。追求して9年目。白星の至福の瞬間を、ダイヤモンドで味わう権利を持つ1人になったのである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。