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田中将大32歳は「全盛期より力が落ちても」楽天逆転Vのキーマン… OB山崎武司が迷わず推すワケ《佐々木朗希との初対戦で好投》
text by
間淳Jun Aida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/11 11:03
10日のロッテ戦では佐々木朗希との投げ合いで、8回2失点と試合を作った田中将大
田中は10日のロッテ戦、相手先発・佐々木朗希との投げ合いで8回2失点と好投し、ゲームを作った。成績を見ても4勝5敗ながら防御率2.82の数字を残している。ただ2011年まで楽天でともにプレーした山崎さんは「全盛期からは力が落ちている。特にストレート」と指摘する。
「マー君」の愛称で親しまれる田中も、11月1日で33歳。打者が狙っていても力でねじ伏せる球威、打者が反応すらできない球速や伸びに衰えはある。
ファンが思い描くのは「2013年の田中将大」だが
8年ぶりに楽天に復帰した今シーズンは、下位打線に本塁打を許したり、ピンチで踏ん張れずに1イニングで複数失点したりする場面が目立つ。メジャー移籍前は、ほとんど見られなかった姿だ。それでも、楽天ファンが思い描くのは、24勝無敗で伝説となった2013年の田中将大。期待と責任が重くのしかかっている。
「全盛期よりも落ちるのは当たり前。その中で、経験や投球術を生かして勝つのが田中の使命。今シーズンの現状での成績を責める必要はない。ただ、優勝がかかったここから何試合かの登板は、いい時の田中を見せないといけない。一緒にプレーしたOBとしての叱咤も込めて、イーグルスを引っ張ってきた田中と則本が踏ん張らないと優勝できない。早川(隆久)は十分に戦力になっているが、1年目の選手を当てにしているようでは駄目」
マウンドに立つとチームの士気も球場の雰囲気も変わる
マウンドに立つと、チームの士気も球場の雰囲気も変わる。かつての田中は、そういう存在だった。
チーム連敗中の登板や相手エースとの投げ合いでは、仲間を鼓舞するような投球をする。絶対的な信頼感と安心感があったからこそ、球団初のリーグ優勝、そして日本一を決める最終回のマウンドを託された。優勝を争う大切な終盤戦。田中がもたらす勝利は1勝を超えた力があると、山崎さんは実感している。
今も毎試合、楽天の試合内容をチェックし、引退後も東日本大震災の被災地への寄付を続けている山崎さん。
「とにかく東北のイーグルスファンを喜ばせてほしい」
優勝条件の分析を超えた願いが込められていた。
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