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「一刻も早く出たかったけど…」栗山巧38歳が“古くて小さい”旧「若獅子寮」に頑なに住み続けたワケ《2000安打の裏に怖~い話が?》 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2021/09/05 17:02

「一刻も早く出たかったけど…」栗山巧38歳が“古くて小さい”旧「若獅子寮」に頑なに住み続けたワケ《2000安打の裏に怖~い話が?》<Number Web> photograph by KYODO

9月4日の楽天戦にて、通算2000安打を達成した埼玉西武ライオンズの栗山巧

 春夏の甲子園に出場し、高校通算47本塁打を引っ提げてプロ入りした栗山だったが、入団当初、その素質は常勝チームの中で、決して目立ったものではなかった。

「あの時はこんな立派な選手になるなんて思いもしなかったよ。まず肩が弱くて守備が下手。これでは1軍で通用しないと思っていた」とはある西武OBだ。

「ただ……」と続ける。

「ひたすら練習していたね、守備もバッティングも。いつも遅くまで居残ってボールを追いかけていたのを覚えている」

 当時、ライオンズの「若獅子寮」には、ある「怪談噺」が伝えられていた。1980年11月に完成した平屋造りの“獅子の穴”。2019年秋に取り壊されるまでは、12球団で最も古い選手寮として数々のスター選手を送り出してきた。

旧「若獅子寮」から聞こえた不気味な物音とうめき声…

 草木も眠る丑三つどき。ふと目を覚ますと、遠くからなんとも不気味な音が聞こえてくる。闇夜のぬるい空気を切り裂くようなシュッ、シュッという不穏な物音、そしてうめき声。

 嫌だなぁ~。怖いなぁ~。

 寮の外の鳴りやまない音のする方へ近づいていくと、隣接する室内練習場からぼんやりと薄明りが漏れている。そこで見たものは……。

 旧「若獅子寮」は古くて個室も狭く、何より遊びたい盛りの若手選手にとって、繁華街から遠く門限がある寮生活は息苦しかった。多くの選手が退寮の日を指折り数え、すぐに飛び出していくなか、当時のルールだった「高卒4年」の“ノルマ”を終えた後も寮に居続けたいと退寮を頑なに拒否した珍しい選手がいた。

【次ページ】 室内練習場には、今も変わらずベテランの姿が

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