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《甲子園》投打に大谷翔平の影響? 「内角攻め」&「引っ張り打法」のトレンドは高校野球の“新常識”になるのか
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKYODO
posted2021/09/02 06:00
残念ながら2回戦を辞退した東北学院。エース伊東大夢の攻めの投球は見応えがあった
筆者が今大会注目したバッターは金子京介(盛岡大付高・3年)、小池祐吏(東海大菅生高・2年)、花田旭、前田健伸(ともに大阪桐蔭高・3年)、浅野翔吾(高松商高・2年)、そして好投手としても阪上の6人。
彼らはいずれも逆方向ではなく引っ張った打球に見どころがあった。
とくに浅野は2年生でありながら香川大会の打率が4割を超える右の強打者で、甲子園での2試合はともに2番を任されていた。2回戦の作新学院高戦ではいずれもレフト方向に2本のヒットを放ち、3回戦の智弁和歌山高戦ではプロ注目の中西聖輝(3年)からセンター前ヒット、そしてレフトスタンド中段まで達するホームランを放っている。小柄だが、パワーがあり、どこか大谷を連想させる期待感を抱かせてくれた選手だった。
「1週間500球以内」という球数制限の中で優勝した智弁和歌山高が見せた、複数投手の重要性など、新しい流行が見えた今大会。内角攻めのピッチング、引っ張るバッティングも高校野球の新常識として定着するかもしれない。そんな流れの中でこれからどんな逸材たちが現れるのか。早くも来年度の大会が待ち遠しく感じている。