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「種牡馬になれる牡馬は5%」では“なれなかった”競走馬はどうなる? スターホースだらけの相馬野馬追、武豊騎乗でGIを勝ったアノ馬も 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byAkihiro Shimada

posted2021/08/29 11:00

「種牡馬になれる牡馬は5%」では“なれなかった”競走馬はどうなる? スターホースだらけの相馬野馬追、武豊騎乗でGIを勝ったアノ馬も<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

7月24日に開催された騎馬武者行列。合計90騎が列をなした

 相馬さんによると、ロジックは当日の朝方こそ入れ込んでいたものの、やがて落ち着きを取り戻し、堂々と進軍したという。

 ロジックは現在、南相馬市原町区で功労馬として余生を過ごしている。

 なお、相馬さんの父である前出の相馬和胤さんは、かつて北海道で柏台牧場を経営し、代表的な生産馬に武のGI初制覇の相棒となったスーパークリークがいる。もちろん、和胤さんと武は互いをよく知る間柄である。こうしたところでも、相馬野馬追と競馬界はつながっているのだ。

トーセンダンディ、チェリーソウマ等が南相馬市で暮らしている

 相馬野馬追期間中、南相馬市は独自の非常事態にあったため、先述したように、本祭(ほんまつり)の日曜日に行われるはずだった「聖地」雲雀ヶ原祭場地までの騎馬武者行列も、甲冑競馬も神旗争奪戦も中止になった。

 元々は今年初めて騎馬武者として行列に参加する予定だった、小学6年生の丸山夏穂(かほ)ちゃんが、大伯父で、中ノ郷(南相馬市原町区)の副軍師である門馬光清さんが運営する「南相馬市ふれあい牧場」で繋養されているエンゲルグレーセに跨って記念撮影をするというので、取材させてもらった。

 夏穂ちゃんは恥ずかしそうにしながらも、馬上で笑顔を見せてくれた。

 南相馬市ふれあい牧場には、ほかにオーブルチェフ、ユビキタス、トーセンダンディといった元競走馬がいる。門馬さんによると、すべて、年に一度の野馬追に出陣するために、ここで繋養しているのだという。

 月曜日に相馬小高神社で行われた上げ野馬の神事は、小高郷(南相馬市小高区)副軍師の本田博信さんが繋養する芦毛の中間種を神前に奉納する、という形で行われた。

 本田さんは、小高区の自宅にシルクファイナル、シルクレイノルズ、ミリオンズ、ニホンノチカラ、ダンサーズナカヤマ、鹿島区で借りている厩舎に、白い顔と青い目の派手なルックスで人気のあったチェリーソウマ、スキップリターン、エノラブエナ、マドリードシチーといった元競走馬を繋養している。

 門馬さんや本田さんのように、馬と暮らすことが日常になっている人々のもとに、多くの元競走馬がいるのだ。

【次ページ】 種牡馬になれなかった馬は「乗馬になる」と言われるが…

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