濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
舞台はプール、水着で水鉄砲乱射!? ラム会長と個性派団体『666』が追い続ける「プロレスで不謹慎」の精神
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/08/23 11:00
8月1日に開催された暗黒プロレス組織666の納涼夏祭り興行メインイベントに勝利したラム会長
遊びと闘いが渾然一体となって、敵味方入り乱れて、ラム会長と組んだ“デスマッチのカリスマ”葛西純も他では見られない表情。最後は試合に出ていないはずの宮本裕向がプールにサンダーファイヤーパワーボムを決め、ノックアウト状態の唯我をラム会長がフォール。最終聖火ランナー風の山下りなは、ずぶ濡れになりながらただただ会場を走っていた。
ちなみにラム会長はセミファイナルでも試合をしている。山下、尾崎妹加と組み、自分たちをパロディにした山田りな(山田太郎)、小澤妹加(怨霊)、雪ぺ真矢(小仲=ペールワン)と対戦。試合後にはハム会長(星ハム子)も出現したのだった。バカバカしいにもほどがあるが「ぱっと見、似てるっていうそのクオリティがね(笑)」とラム会長。
雪ぺは雪妃真矢(アイスリボン)のパロディなのだが、間違えて他の女子レスラーの技を使ってしまい、しかしそれすら見事なコピーぶりという高度さ。「分かってる」というやつだ。怨霊は団体のシングル王者であり、久々にベルトを巻いた試合の激しさは大評判になった。が、そんな選手が女子選手のパロディもやる。それが666ということだ。
あえて正攻法から“はみ出した”プロレスをする理由
実際の話をすると、今年はやりにくい面もあった。水をかけ合っても、それが会場の中や路上には飛ばないようにという制限、配慮つき。ご時世的にそうならざるを得ないというところはある。
試合後、ラム会長に話を聞くと夏祭りイベントについてこう語ってくれた。
「こういうイベントをやることに、いろんな声はあると思うんですけど。でもこれが666らしさなので。いろいろ大変だからやめておくかじゃなく、やれる形でなるべくやりたいなと。これを楽しみにしてくれるファンの人はいるし、こんなご時世でも来る人は来ていただける。見たい人が見て、元気になってくれればそれでいいのかなと」