バレーボールPRESSBACK NUMBER
ギリギリの膝で五輪を戦い抜いた清水邦広…“同学年の戦友”福澤達哉が「(五輪出場は)オレじゃなくて清水でよかった」と伝えた理由〈バレー〉
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/08/16 11:03
14日に行われた福澤達哉の引退試合で笑顔を浮かべる清水邦広。日本男子バレーの一時代を支えた2人の友情は厚い
福澤も、「清水にはバレー界のキングカズになってほしい。ボロボロになっても、足を引きずってでも1点を取る姿で、清水にしか見せられない世界、高みを見せてほしい」と期待を込める。
「バレーは面白いんだよ、というのをVリーグを通じて」
もう一つ、清水には「Vリーグの注目度を上げたい」という思いもある。
「バレーボールはこれだけ面白いんだよというのを、Vリーグを通して伝えたい。代表は注目されたかもしれないけど、Vリーグはまだまだ注目度が低いと思うので。この東京オリンピックで、バレーボールに興味を持った子供がたくさんいると思いますし、もっともっと子供たちにバレーをやってほしい。それが日本がまた強くなる基盤にもなる。長年バレーボールをやらせてもらってきた恩返しを、現役を通してやっていきたいという思いがあります」
「膝の状況次第なんですけどね」と、ちょっと恨めしそうに、手術したばかりの膝を見つめた。
「膝の状態が良ければいつまででもバレーを続けたい。でも、もうスパイク決まらんな、これじゃあもうバレーやってても自分の価値ないな、となったら、やめると思います。だけど通用する限りはあがき続けたい。これからは自分との戦い。1年1年、1カ月1カ月かもしれないけど、バレーボールを噛み締めながら、まだまだうまくなるんだぞというのを証明したい。それほどバレーボールが大好きなので、この情熱を最後まで持ち続けたいなと思います」
一つの大きな目標を達成してなおあふれ出るバレーボール愛。そして、福澤愛も。
「福澤には、僕の食らいつく姿を見ながら、旨い酒でも飲んでほしいですね。『あいつまだやってるぞ』って言いながら、酒のつまみにしてほしいなと思います(笑)」