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久保建英のコーチ中西哲生に聞く“2季ぶりのマジョルカ復帰”「なぜレンタル料なし?」「何が求められている?」

posted2021/08/13 17:04

 
久保建英のコーチ中西哲生に聞く“2季ぶりのマジョルカ復帰”「なぜレンタル料なし?」「何が求められている?」<Number Web> photograph by Getty Images

2季ぶりのスペイン1部リーグ・マジョルカ復帰が発表された久保建英(2020年撮影)

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中西哲生+戸塚啓

中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka

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 久保建英の所属先が、マジョルカに決定した。自身がプレーした19-20シーズン以来の1部復帰となる古巣で、スペインでの3シーズン目を過ごすことになった。

 久保建英のパーソナルコーチを務める中西哲生氏は言う。

複数の選択肢も「ギリギリの選択だったのかも」

「東京五輪での久保は、一定の信頼のもとで一定の時間を与えられれば、世界のなかでも結果を残せるところを見せた。昨シーズンはビジャレアルとヘタフェで力を出し切れなかったですが、ヘタフェの1部残留を決める得点をあげたり、五輪で3得点をあげたりしたことで、ポジティブな情報が上書きされたと思います。マジョルカから再オファーが来たのは、クラブ側が久保を評価している表れに他ならない」

 国内外を問わずに、複数の選択肢があったはずである。東京五輪のスペイン代表に招集されたマルティン・スビメンディ、ミケル・メリノ、ミケル・オジャルサバルらが所属するレアル・ソシエダが、関心を示しているとの報道もあった。

 中西氏が続ける。

「完全移籍であれば自分のいきたいクラブを、もちろんオファーがあっての前提ですが、自分で選べる可能性がありますが、久保は期限付き移籍です。所属元のレアル・マドリーと、移籍先のクラブの思惑が絡みます。レアル・マドリーからすれば、試合に出場する可能性の高いクラブで、経験を積んでほしいと考えるでしょう。マジョルカへの移籍がベストの選択ではないかもしれませんが、期限付きですから本人の意思だけでは決められない、という観点に立つと、開幕まで時間もなくギリギリの選択だったのかもしれません」

なぜレンタル料が発生しないのか?

 中西氏が注目するのは、「レンタル料」が発生していないことだ。

「マジョルカの予算規模を考慮したのかもしれませんが、客観的に見れば普通ではない。だとすれば、それに見合ったことを想定しているのかもしれない。レアル・マドリーのEU圏外選手の3枠はブラジル人で埋まっているので、久保が期限付き移籍するのは既定路線だったのでしょうが、ビニシウス・ジュニオールがスペイン国籍の取得へ前進していると言われている。それによってひとつ空いたEU圏外枠を久保に充て、冬の移籍市場で呼び戻す、という想定があるのかもしれません」

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