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「はっきり言って、初代タイガーマスクのクローン」 《タイガー・クイーン》衝撃デビューに佐山聡も「思った以上の合格点」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/08/09 11:00
7月29日、後楽園ホールでデビュー戦に見事勝利したタイガー・クイーン。
“女性版ダイナマイト・キッド”も誕生?
平井代表によると、クイーンの次戦は9月5日の新木場1stRING大会。佐山、ジャガーの話し合いで決めることだが、他団体参戦もありうるという。本人の能力の高さは申し分ないだけに、あとはどうプロデュース、プロモーションしていくか、どう“クイーンならでは”の個性を打ち出していくかがポイントになりそうだ。現在進行形のフレッシュなレスラーであると同時にノスタルジーも刺激するタイガー・クイーン。やり方しだいで大化けする可能性は十分にある。
そして、今回の試合を語る際に強調しておきたいのは山下りなの存在だ。山下から3カウントを奪うという結果は、今の女子プロレス界において特筆すべきこと。クイーンにとっては勲章であり、また“十字架”にもなりかねない。男子選手とのデスマッチでタッグベルトを巻いたこともある山下は、それだけの選手なのだ。
クイーンとの試合でも、打撃、グラウンド、投げ技とあらゆる場面で迫力のある攻撃を見せた。キャッチフレーズは“デスマッチ・アマゾネス”。デカくて強くて怖い山下が相手だったから、クイーンの華麗さも際立った。山下りなは理想的なライバル、つまり“タイガー・クイーンにとってのダイナマイト・キッド”なのだ。見事なマッチメイク、最高の敵役だった。佐山も「相手が山下選手だったからこそいい試合になった」と言っていたそうだ。
この日、始まったのはタイガー・クイーンの歴史だけではないのかもしれない。タイガー・クイーンと、令和の女性版ダイナマイト・キッドたる山下りなのストーリーが始まったのだと考えてもいいだろう。そういう人材が女子プロレス界にいたからこそ、タイガー・クイーンも生まれたのだ。
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