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《男子バレー》イラン戦チーム最多30得点! 西田有志に備わった強烈スパイク、サーブだけじゃない武器とは?
text by
岩本勝暁Katsuaki Iwamoto
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2021/08/03 06:00
29年ぶりの五輪8強を決めたイラン戦。最多30得点を叩き出した西田は、磨き上げてきたブロックでも貢献した
コロナ禍の昨夏に励んだ肉体改造も奏功した。相手の強烈なスパイクにもブレない、強靭なフィジカルを身につけたのだ。
1対1の場面では相手スパイカーと臆せず勝負し、ブロックポイントを量産した。2020-21シーズンは一時、西田と福山でブロックランキングの1、2位を走っていたこともある。結果的に日本代表の小野寺太志(JTサンダーズ広島)に1位を譲ったが、チーム別のブロックランキングでジェイテクトSTINGSは2020-21シーズンの首位を独走した。
Vリーグでは、ロシア代表のドミトリー・ムセルスキー(サントリーサンバーズ)やポーランド代表のミハウ・クビアク(パナソニックパンサーズ)など世界最高レベルのプレーヤーと対峙できたことも大きい。西田はブロックについて、シーズンの終盤にこう話している。
「昨シーズンから明らかに変わったのは、相手を見る時間が増えたこと。その選手がどうスパイクを打ってくるのかを、自分でもデータを取っています。どこを見て、どう打ってくるのかを判断するのがブロックの駆け引きで、フェイクを入れる場面もあったけど、相手が100パーセント引っかかってくれたわけではありません。もっと止められたし、もっとワンタッチを取っていい展開にできた。そこを修正して、もっといいブロックにしていきたいと思います」
高橋の好判断が生んだ西田のブロック
いいブロックには、いい布石があることも忘れてはいけない。1日のイラン戦を振り返ると、第3セットの中盤がまさにそれだ。
高橋が3枚ブロックの背後にフェイントを落とした。そのボールに最初に触ったのは、攻撃を専門とする相手のオポジットだった。これでイランの攻撃を1枚削ったことになる。これを見て相手の攻撃を絞り込んだ西田は、落ち着いてレフトからのスパイクをシャットアウト。高橋の好判断が生んだ西田のブロックだった。
日本はここで1点差に追いつくと、続く西田のサービスエースで13−13の同点に。結果的にこのセットは落としたが、接戦を演出するきっかけになった。
さらにイランは途中でセッターとオポジットを交代、ライト攻撃やバックアタックを使いはじめる。オポジットとしては小兵の部類に入る西田のブロックが、相手にプレッシャーをかけ続けたのだ。