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アンチェロッティ再登板のレアル・マドリーに拭えぬ不安 「ムバッペは獲りに行くが、無理なら誰も獲らない」方針で戦力は…

posted2021/08/02 17:00

 
アンチェロッティ再登板のレアル・マドリーに拭えぬ不安 「ムバッペは獲りに行くが、無理なら誰も獲らない」方針で戦力は…<Number Web> photograph by Getty Images

6シーズンぶりに復帰したアンチェロッティ。前政権時には4つのタイトルを獲得したが、今回は楽な仕事とはならなそうだ

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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 アンチェロッティのレアル・マドリー“シーズン2”が始まった。

 前年無冠だったチームを引き受けた第1期(2013-15シーズン)も、2年間でCLを含む4つのタイトル(国王杯、CL、UEFAスーパーカップ、クラブワールドカップ)を獲得した彼である。早速の捲土重来が期待されるが、アンチェロッティにとっては決して楽な仕事にはならないだろう。

 というのも、8年前と違い、今回は戦力面で難しい条件が課される可能性があるからだ。

ムバッペが無理なら誰も獲らない

 今夏のR・マドリーのプランは「良いオファーが届いたら誰でも売る」と「ムバッペが獲れるなら全力で獲りに行くけれど、無理なら誰も獲らない」の2本立てとされている。

 その策が8月末まで貫かれたら、すでに移籍金ゼロで獲得したアラバを除いて、戦力は減っても増えはしない。監督の立場から言うと、プレシーズン途中で補強が必要と感じるポジションが出てきても、手持ちの駒でやりくりするしかない。

 それを踏まえてチームに目をやると、GKは良いとして、ディフェンスラインが心配だ。セルヒオ・ラモスとバランが抜けたせいで、CBはアラバ、エデル・ミリタン、ナチョだけ。ローン移籍先のグラナダから戻ってくる五輪代表バジェホは、残留か売却か未定だという。

 一方で、中盤の戦力は足りている。

 前任のジダンに信頼されていたモドリッチ、クロース、カゼミーロに加え、冷遇されたウーデゴールとセバジョス(ともにアーセナルからローンバック)、また昨季ジョーカーのように使われたバルベルデもいる。

 アンチェロッティは、第1期で重用したイスコを活用するかもしれない。問題はむしろ先延ばしにしてきた世代交代をいかに進めるかである。

 アタックラインはちょっと複雑だ。

 両サイドにロドリゴ、ビニシウス、ベイル、久保、アセンシオ、アザール、ルーカス・バスケスがいるが、最初の4人はEU内の国籍を持っていない(ベイルの母国ウェールズも今シーズンからEU外)。EU外選手枠3つのうち1つはミリタンに与えねばならないので、2人がはみ出すことになる。

 それでも数は十分だけれど、昨季のパフォーマンスを思い返すと、どちらのサイドも万全とは言いがたい。アンチェロッティが彼らを覚醒させるというなら話は別だが。

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