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アンチェロッティ再登板のレアル・マドリーに拭えぬ不安 「ムバッペは獲りに行くが、無理なら誰も獲らない」方針で戦力は…
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横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/08/02 17:00
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6シーズンぶりに復帰したアンチェロッティ。前政権時には4つのタイトルを獲得したが、今回は楽な仕事とはならなそうだ
メディカルスタッフの補強は完璧
そして、ストライカー。一番の懸念点。
ベンゼマは引き続き頼りになるだろう。しかし、代わりがいない。ヨビッチはクラブが放出を望んでおり、マリアーノには荷が重すぎる。となるとアザールかベイルにかつての輝きを取り戻してもらわねばならない。
これまた監督の腕の見せ所ではあるが、難儀するのは間違いない。
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ともあれ、アンチェロッティはクラブの意向を承知のうえで監督を引き受けた。そこで重要になるのが選手の体調管理の徹底と、そのためのメディカルスタッフの強化である。
昨季、ジダンは続発するケガに悩まされ、足を引っ張られた。選手層が薄いポジションがあることや幾人かのパフォーマンス改善がタイトル奪還のカギとなることを考えると、絶対に同じ轍を踏むわけにはいかない。
キーパーソンと言えるフィジカルトレーナーには、ジダン期のCL3連覇(15-16から17-18シーズンにかけて)の陰の功労者、アントニオ・ピントゥスが呼び戻された。
さらにクラブは、昨年3月にアザールの腓骨手術に立ち会ったNFLダラス・カウボーイズのメディカルチーム長ダニエル・クーパーの協力を取り付けた。負傷予防のアドバイスやケガに対するセカンドオピニオンを、ピントゥスやチームドクターに与える役だ。
加えてアンチェロッティは第1期に手を組んだ運動生理学の専門家ダニーロ・マナリにも声をかけた。セリエAやプレミアのチームだけでなくラグビーや陸上競技、イタリアのトライアスロン五輪代表選手等もサポートしてきた、その道の大家である。
チームと異なり、こちらの補強は完璧といえるだろう。
3人の賢者が知識と経験をもって戦える土台を作り、アンチェロッティが知恵を使って形にする。
新生R・マドリーは8月14日、敵地でアラベスと今シーズンの開幕戦を行う。
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