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「性格悪いですかね?」ぱんちゃん璃奈が“美女アスリート”からトップファイターに変貌の11連勝! ピンチの場面で“喜んだワケ”とは?

posted2021/07/23 11:01

 
「性格悪いですかね?」ぱんちゃん璃奈が“美女アスリート”からトップファイターに変貌の11連勝! ピンチの場面で“喜んだワケ”とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

7月18日のsasori戦に勝利し、無傷のデビュー11連勝を飾ったぱんちゃん璃奈。この勢いはどこまで続くか?

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 敗者は笑い、勝者が泣いていた。そこに、ほんのわずかな差があった。

 7月18日、キックボクシングイベントKNOCK OUTの女子アトム級王者(BLACKルール=ヒジ打ちなし)、ぱんちゃん璃奈はsasoriを判定で下しデビュー11連勝を飾った。

 テレビでの密着企画も話題となり、女子キックボクサーとして屈指の知名度を持つぱんちゃん。前回の試合、5月のMIREY戦ではワンパンチKO勝利で成長ぶりを見せた。 

「話題先行」という意地悪な見方を覆すために

 7.18後楽園ホール大会で闘ったsasoriには、以前から「ラブコールを送っていた」という。異名は“女蹴さそり”、梶芽衣子の『怨み節』で入場する個性派は、NJKFミネルヴァのチャンピオン。パンチを打ち合いながら笑い、圧力と連打で相手を呑み込む実力者だ。

 sasoriはこれまでさまざまな団体で強豪と対戦して結果を出し、敗れてもインパクトを残した。これだけ強く、キック界で名が知られている選手と闘えば、当然ながらぱんちゃんの実力が“査定”される。「○○はsasoriに勝った。××は負けた。その選手たちと比較して、ぱんちゃんはどのくらいなのか」ということだ。

 ぱんちゃん自身もそれを望んだ。キャリアの早い段階から、ぱんちゃんはKNOCK OUT女子のエースとして期待されてきた。ホームリングの興行を盛り上げるのが最大の仕事。団体の壁もあり、外のリングに乗り込むということがなかなかできない。対戦相手も見つかりにくく、一度勝った選手とのリマッチもあった。

 それでもメディアには取り上げられるから「話題先行」という意地悪な見方も出てくる。弱かったら10連勝などできないのだが。実力を形として見せつけるために、ぱんちゃんはsasoriに勝つ必要があった。

「性格悪いですかね?」

 しかもsasoriのことを、以前からリスペクトしてもいた。「本当に好きな選手なんです」と言っていたのは対戦発表会見の直後。ジム関係者には「sasori選手は凄い。怖いけど、まだ勝てないけど、いつか闘ってsasori選手の圧力を体感してみたい」と熱っぽく訴えていたそうだ。sasori戦は、特別な相手との特別な試合だった。

「この試合で勝てば本物。そう言われたし自分でも思ってました。(自分の力を)証明したかった」

【次ページ】 安全な闘いではなく、より強さを印象づける闘い方を選んだ

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ぱんちゃん璃奈

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