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東京五輪も出場濃厚“18歳のスタミナお化け” …メッシが認め、監督が「クレイジー」と脱帽のペドリが感じる幸せとは?
posted2021/07/15 17:00
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
ウェイン・ルーニーほどの衝撃はない。
同じ18歳でのメジャートーナメントデビューだが、17年前のEURO2004で4ゴールをマークし、センセーションを巻き起こしたルーニーに対して、EURO2020のペドリはひとつのゴールも、ひとつのアシストも記録していない。
ついでに言えば、明らかにGKウナイ・シモンのトラップミスだったとはいえ、ラウンド16のクロアチア戦で、公式記録上はオウンゴールまで献上している。
それでも、今大会のペドリは、文句なしでスペシャルだった。
指揮官は最後までベンチに下げようとはしなかった
なにより彼は、恐ろしいほど走った。あるいは、ワールドカップも含めたメジャートーナメント史上、もっともタフな18歳だったと表現しても、決して大げさではないだろう。
プロデビューからわずか2年の若者が、スペイン代表におけるEURO最年少出場記録を更新(18歳6カ月18日)したスウェーデンとの初戦から、準決勝でイタリアに敗れるまでの全6試合にスタメン出場を飾っただけでも驚きだが、そのうち途中交代は一度だけ。
そのたった一度の交代をルイス・エンリケ監督が決断したのは、延長戦にもつれ込んだスイスとの準々決勝の119分だった。
今大会は5人交代制の特別ルール(延長ではさらに1人の交代が可能)だったにもかかわらず、指揮官は最後までペドリをベンチに下げようとはしなかった。
今大会のスペイン代表は、決勝トーナメントの3試合すべてを延長戦まで戦っている。つまりペドリは、629分間ピッチに立ち続けたわけだ。準決勝終了時点でこれを上回っていたのは、フィールドプレーヤーでは同じスペイン代表のCBアイメリック・ラポルトだけである(630分)。
その走行距離は、参加選手中最長の76.1km(準決勝終了時点)。2位のジョルジーニョ(イタリア)に約4km、3位のカルバン・フィリップス(イングランド)に約10kmの差をつけている。