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「引退試合はオレの性に合わないよ」天才・落合博満44歳の“涙なし”現役ラスト打席…試合後の意外な「神対応」とは?

posted2021/09/06 17:02

 
「引退試合はオレの性に合わないよ」天才・落合博満44歳の“涙なし”現役ラスト打席…試合後の意外な「神対応」とは?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

1996年オフに巨人から日本ハムに移籍した落合博満。当時43歳だったが3億円の2年契約と期待されていた

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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長嶋、王、バースから古田、桑田、清原まで……球界を彩った24人のスターたちは「最後の1年」をどう過ごしたのか? 去り際の熱いドラマを描いた『現役引退――プロ野球名選手「最後の1年」』(新潮新書)が重版され、売れ行き好調だ。43歳で巨人から日本ハムへ移籍した落合博満。3億円の2年契約と期待されたものの初年度は寂しい成績に終わった。そしてプロ20年目の「最後の1年」が始まった(全2回の後編/前編へ)。

 前年に続き、素手でバットを握るこだわりを捨てて左手には手袋をはめ、前所属の巨人ではほとんどなかったデーゲームにも対応できるよう、新たにサングラスもかけた。もうなりふり構っていられない。2年契約最終年、12月には45歳になる球界最年長のベテランは結果を残すしかなかった。4月4日の開幕戦は「4番一塁」で先発出場すると、西武のエース西口文也から意地の3安打猛打賞。だが、時の流れは残酷だ。どんなスーパーアイドルもやがて歳を取っておじさんやおばさんになるように、一流のアスリートもいつの日か衰え、終わりは来る。限られた貴重な時間を、演者と観客は共有しているわけだ。

 4月末にはバットマンの生命線でもある右手親指の付け根部分を痛め、ベンチを温める日々。体力の衰えだけでなく、首脳陣との野球観の違いもあり、もう気持ちも切れかかっていた。スタメン復帰後、5月19日の西武戦でテリー・ブロスの速球を東京ドームの右中間スタンドへ叩き込むが、このシーズン2本目の一発が結果的に現役ラストアーチとなる。一塁守備時にファウルフライの目測を誤り、中年のリアルを痛感。打率2割5分台と低迷し、代打起用も増え、7月以降は首位を走るチームのビッグバン打線からその名が消えた。

ラスト打席後の“意外な神対応”

 落合の現役最後の打席は98年10月7日、千葉マリンスタジアムの古巣ロッテ戦(ダブルヘッダーの2試合目)でのことだ。なお日本ハムは後半戦に急失速し、当日は西武の逆転優勝が秒読み段階(当時はもちろんCS制度はない)。すでにオールスター戦後の7月下旬の日刊スポーツに「落合FA、獲得名乗りなければ引退」という記事が出ていたが、FA宣言をして引退発表をせずに自らの立場をあやふやにしておくのも面倒だと腹を決める。

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