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「五輪と箱根(駅伝)だったら、絶対に五輪に行きたい」 大学へ進まなかった最強ランナー・遠藤日向の断たれた東京への道

posted2021/06/30 11:01

 
「五輪と箱根(駅伝)だったら、絶対に五輪に行きたい」 大学へ進まなかった最強ランナー・遠藤日向の断たれた東京への道<Number Web> photograph by AFLO

日本選手権男子5000mで優勝した遠藤日向はレース後涙を流した。五輪出場を逃した22歳は何を思ったのだろうか

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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AFLO

「念願の初優勝ではあったんですけど、レースで優勝して、うれしくなかったのは今回が初めてです」

 日本選手権の男子5000mを制した遠藤日向(住友電工)は、こんな印象的な言葉でレースを振り返った。

 ようやくつかんだ日本一のタイトルだったが、遠藤にとってそれはあまりにも苦い勝利の味だった。

五輪を目指し大学ではなく実業団へ

 多くのライバルが箱根駅伝を目指して関東の大学に進学するなか、遠藤が実業団に進む道を選んだのは、早い時期から東京オリンピックを目標に掲げていたからだった。

「東京五輪が開催される2020年は、大学に行っていれば4年生ですが、自分には箱根駅伝とオリンピックと両方を目指すのは厳しい。駅伝に興味がないわけではありませんが、オリンピックと箱根だったら、絶対にオリンピックに行きたい」

 高校卒業時、遠藤はこんなことを話していた。進路を選ぶ過程には並々ならぬ覚悟があったに違いない。

 そして、その夢を実現するための舞台が、今回の日本選手権だった。

「東京五輪に向けてラストチャンスでもあったので、悔いの残らない走りをしようと思って、今回は臨みました」

 昨年12月の日本選手権も、五輪出場がかかった試合だったが、遠藤はアキレス腱の故障で欠場していた。ワールドランキングでの出場は現実的ではないため、東京五輪に出場するには、今回の日本選手権で参加標準記録(13分13秒50)を突破して3位以内に入ることが必要条件だった。

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