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《ドラフト中間予想》野手“ドラ1候補”ベスト10、なぜ私はJR四国の“無名”20歳ショートを4位に推したか?

posted2021/06/29 11:04

 
《ドラフト中間予想》野手“ドラ1候補”ベスト10、なぜ私はJR四国の“無名”20歳ショートを4位に推したか?<Number Web> photograph by KYODO

筆者がドラフト候補中間予想・野手編【4位】に挙げた水野達稀(JR四国・遊撃手・170cm71kg・右投左打)

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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 社会人野球2年目で、「都市対抗野球」に2度目の出場。しかも、高校から社会人野球に進んだ遊撃手がレギュラーで試合に臨んで、1年目の東京ドームでも2年目も、こちらが思わず唸ってしまうような見事なプレーを立て続けに見せてくれた……そんな選手、この20年で誰もいない。

 5月の連載で「【ドラフト中間予想】野手“ドラ1候補”ベスト10」という記事を書いた。高校、大学、社会人……アマチュア野球すべてのカテゴリーの中からランクインした10人の選手のうち、「第4位」にJR四国・水野達稀遊撃手(20歳・170cm71kg・右投左打・丸亀城西高)という社会人3年目の無名の遊撃手を挙げたものだから、ずいぶんといろいろな反響があった。

 奇をてらったものだ……というお叱りもあったが、推した本人としては、時期が来ればわかるさ、と、至って平気なものだった。

 そして、その「時期」がやって来た。29日から始まる「社会人野球日本選手権大会」。

 7月4日までが「ほっともっとフィールド神戸」で、2回戦以降は7月9日から「京セラドーム大阪」で、全国から予選を勝ち上がった32チームが「チーム日本一」の座を競う。同じ地区からの「補強選手」が加わる都市対抗野球とは違って、自チームだけの戦力で戦うのが、この「日本選手権」だ。

入社1年目、いきなり1番ショートでホームラン

 丸亀城西高(香川)の頃の水野達稀遊撃手は、センター前ならいつでも……というよりは、二塁打、三塁打ならいつでも……という印象の「天才」だった。3年夏の甲子園では、シングルさえも打てず初戦敗退だったが、本領を知っていたので、見ていたこちらはショックもなかった。

 激しいショックを喰らったのは、その1年後だ。

 入社したばかりのJR四国ですぐにリードオフマンに抜擢。その1年目で、いきなり1番ショートで出場した都市対抗で、唸ってしまった。

 相手は、そのほとんどが社会人野球の第一線でもまれてきた猛者ばかり。なのに、この「18歳」は物怖じするどころか、「当たり前」みたいな顔でショートを守り、自分のミートポイントまでボールを呼び込み、フルスイングを繰り返す。

 しかも、その日のマウンド上にいたのは守安玲緒投手(三菱重工神戸・高砂)だった。タテのスライダーが魔球みたいな社会人野球のレジェンド相手に、打ってヒットになりそうなボールはすべて振り抜いた。8球放らせて、結局ファーストゴロでも、全部タイミングが合っている。

 こりゃあ、本物かも……と思って見ていた第2打席だ。

【次ページ】 2年目の都市対抗「20歳の殺気」

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