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香川真司超え「33億円」の市場価値、鎌田大地は日本代表にどう効く? 「上位との試合のほうが僕のゴールチャンス自体は多い」
posted2021/06/24 11:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
キングのような空気を漂わせている選手が、日本人トップになった。これは何を意味するのだろうか――。
昨秋のヨーロッパ遠征から継続してトップ下で起用されている鎌田大地は、ときに優雅に、肩の力がぬけたままで流れるようにプレーしていく。日本人のこのポジションの選手のなかでは歴代でも高い部類に入る長身だ。その上で、背中を張ったままで周囲をみながらボールを扱えるから、日本代表における新しいトップ下像を作りそうな雰囲気があるのかもしれない。
「なるべく早く、できるだけ多く、縦パスをつけてほしい」
トップ下が主戦場になってきた鎌田は、今回の代表活動期間中に、チームメイトに繰り返し要求してきた。それはチームの王様のようにも見えた。
「僕はスターのようなプレーヤーではないですから」
「『僕の後ろに敵がいても、通すのが無理だと思えそうなパスでもあててほしい』という風に伝えています。ボールを受ける選手の背後に相手チームの選手がいたりすると、『少しリスクがあるから』と避けがちなプレーをしたくなるかもしれないです。だけど、相手にとっては『そこに通された方が嫌だ』と感じるはずだし、今よりも1つ奥までパスをつけられれば効果的だと感じるシーンがいっぱいあるので。ボールを奪ってから最初のボールが1トップに良い形で入れば、一気に2列目の選手が前向きにスプリントして前にすすめる。試合にスピーディー感は出ると思います」
もっとも、自分がズラタン・イブラヒモビッチのようにプレーできると鎌田が考えている、というわけではない。
「僕だけの意図というより、チームとして『ボールを取った瞬間に前につけられるなら、どんどんつけていこう』と森保(一)監督も言っているからです」
王様のようなプレーぶりなのだが、チームのためにという意識が実は強い。6月11日のセルビア戦のあとにはこう話していた。
「全然納得がいく内容ではありませんでした。自分のプレースタイル上、1人でなんとかできるわけではないので。僕はスターのようなプレーヤーではないですから。そういうスターたち――何か素晴らしいものを持っている選手たち――の分だけ走って、そういう選手にうまくボールを配球するというのが、自分が上に行くためにはすごく大事になってくる。こういう難しい展開で90分間、チームのためにやり続けることがやはり大事かなと思います」