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体操界の「失敗しない女」、20歳の畠田瞳が団体メダルのカギに? 「自分には両親のDNAがある」父娘五輪出場へ
posted2021/06/21 06:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
20歳の若さで既に「失敗しない女」としての評価を固めている。体操界のホープ畠田瞳(セントラルスポーツ)が、東京五輪代表選考を兼ねて4月と5月に行なわれた全日本個人総合選手権(予選、決勝)とNHK杯で、3日間の全3戦合計12演技をすべてノーミスでこなし、2位で初の五輪切符を勝ち取った。
「リオ五輪の後から本格的にオリンピックに出たいと思い始めて、そこからずっと頑張ってきた。コロナ禍で大会が行なわれない中でも、ともに五輪を目指してきた仲間同士で応援し合いながら練習して来られたのが大きかった。頑張ってきて本当に良かった」
涙を流して喜びをかみしめた。
父は'92年バルセロナ五輪男子団体総合の銅メダリストの好章さん(日体大体操競技部男子監督)、母の友紀子さんは元ユニバーシアード代表、4歳下の妹・千愛も五輪出場を目指す体操一家に育った。
畠田が体操を始めたのは小学校3年生とやや遅めだったが、コーチを務める友紀子さんが「親から見ても真面目。偉いと思えるくらいコツコツと練習している」と認める努力で、高校3年生で初めて'18年世界選手権の代表入りを果たした。だが当時の畠田が真っ先に口にしたのは両親への感謝。「自分には両親のDNAがある。今の結果は全部両親のお陰」と頭を下げていた。
「団体でメダルを狙う上でキーになる」
もちろん実際に得意とする段違い平行棒では、現役時代に鉄棒の「ダブルコバチ」で人気を博した父から車輪の基礎を教わったことが生かされているという。今回の代表選考会では上下のバーを移動する高難度技の「コモワ」、「マロニーハーフ」を難なく成功させるなど、代表争いの得点源になっていた。
最大の武器は安定感だが、NHK杯の1日だけの点数ではエースの村上茉愛を上回る55.598点を出し、オールラウンダーとしての底上げができていることも示した。日本体操協会の田中光・女子強化本部長は「チームの柱になってくれる存在。団体でメダルを狙う上でキーになる」と評価を上げている。
東京五輪には段違い平行棒で連続技を入れるなど、難度を上げて挑む予定。「オリンピックで輝く姿を見せたい」と語る畠田への期待がどんどん高まっていきそうだ。