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令和の部活事情「帰宅部が1番人気って本当?」「部活でサッカーやるのはカッコ悪い」イマドキ中学生の本音
posted2021/05/31 17:05
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Getty Images
野球の「甲子園」、サッカーの「国立」、ラグビーの「花園」……。部活動の大会は多くの人々の関心を呼び、学生が毎年生み出すドラマに全国が熱狂する。
それはなにも、こうした「メジャー」なスポーツの部活だけではなく、マイナーなスポーツの部活にも、それぞれのドラマがあり、生徒や顧問、保護者らが一体となって学生時代の青春の1ページを形作っている。学生の本分は勉強とはいえ、「文武両道」を校訓とする学校も多数あり、教育理念の面でも学校生活と部活は不可分と考えられていることもまた事実だ。
しかし、近年では厳しすぎる指導に対して「ブラック部活」や「パワハラ」などの言葉が叫ばれ、生徒の側が部活を見る目は、学校側のそれとは大きく異なってきているようだ。
人気部活1位は「帰宅部」?
例えば、バイドゥ株式会社が10代の男女2690人に「入りたい部活」のアンケートを実施したところ、なんと1位は「帰宅部」であった。帰宅部は部活に入らない生徒の俗称だが、部活に入ることが当たり前だと感じる世代の先輩方にとっては衝撃的な結果だろう。
実際、全国の中学2年生の男女およそ100万人を対象にした調査では、運動部にも文化部にも所属していないという意味での帰宅部の割合は、男子が14.8%、女子が11%となっている(令和1年スポーツ庁調査)。男子の75.6%、女子の57.3%が運動部に所属しているとはいえ、全校生徒の1割が加入するような大所帯の部活は少ないだけに、必然的に帰宅部は上位にランクされるというわけだ。
しかも、帰宅部の比率は、平成26年からの5年間で、男子は2.7ポイント、女子は1.9ポイント上昇している。
部活を敬遠する動きは強まっているのだろうか。スポーツ部活の顧問として、毎日のように学校のグラウンドに立っている現役教師に聞いてみた。
「部活でサッカーやるのはカッコ悪い」
「帰宅部には2種類あります。放課後はなにもしないでダラダラしている子たちと、地域のスポーツクラブに所属してバリバリやっている子たちです。たとえば、わたしの赴任先では全生徒400人のうち40人が帰宅部ですが、その8割はクラブチームで野球やサッカー、水泳をしています。運動をしたい生徒は部活をクラブチームより低く見ている傾向もあり、『部活でサッカーやるのはカッコ悪いよなぁ……』とヘタな生徒でもクラブチームに行くことが多い。野球では本当に上手な子は硬式野球のクラブチームに所属し、学校の野球部にはあまり運動ができない子が所属しています」(神奈川県、中学教師)