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「今の自分には価値がない」瀬戸大也が初めて語った、スキャンダルへの悔いと妻の言葉 

text by

田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph byKosuke Mae

posted2021/05/26 11:03

「今の自分には価値がない」瀬戸大也が初めて語った、スキャンダルへの悔いと妻の言葉<Number Web> photograph by Kosuke Mae

自身にどんな変化があったのか、瀬戸大也が騒動後初めて語った

「金を獲ったら許されるわけではないけれど」

 瀬戸にとって、今の人生の目的は、歩んできた水泳人生のすべてを後進に伝えていくことだ。そのための準備としても、チーム・ダイヤが機能している。

「世界と戦うノウハウや強化策など、自分がどうやって世界と戦っているかのデータ化を進めています。それを水泳界の未来を担うジュニアスイマーたちに伝えていきたいんです。良いことも悪いことも、すべて水泳のおかげで経験させてもらいました。だから、将来は水泳界に貢献したい」

 そのために、今できることは結果を残すことだ。目の前の東京五輪という目標に向かい、ひた走る。やるべきことは、明確だ。

「金を獲ったら許されるわけではないことは当然です。でも、今の自分が置かれている立場というのは、金を獲らないとダメだと思うんです。昨年、僕は自分勝手なことをしてきて、周りの人に迷惑をかけた。それでも日の丸を背負わせてもらっている。だからこそ、金メダルを獲らないといけないんです。今までとは違うプレッシャーかも知れませんが、僕はプレッシャーがあったほうが強くなれる。本当に、こんな状況になっても僕を応援してくださる方々に感謝しながら、そういう人たちに強い自分を見せたい。いま、コロナ禍のなかで、東京五輪にはネガティブな見方が増えていますけれど、それでも開催されたら、最初の400m個人メドレーで、世界記録で金メダルを絶対獲りたい。そこでよい流れを作ってみせたい、そう思っています」

 無双状態の頃に持っていた、勝負どころを見極め食らいつく、誰にも負けない鋭い牙は、確かに一度抜け落ちた。しかし――。

「あのとき持っていた牙は、抜かれなきゃいけなかったんです。あれは何というか……“黒い牙”だったから。だからもっと強い、芯が通った丈夫な、決して折れない本物の白い牙を持てるような自分に仕上げていきたい。味方でい続けてくれた家族や仲間を守れるような、そんな強さをもった牙に。そのために頑張りたい。この先の自分を見ていてください」

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